【アイビスSD】ラブに感謝!西田14ぶり重賞V

[ 2010年7月19日 06:00 ]

重賞初挑戦初制覇を飾ったケイティラブ(手前)

 今年も牝馬だ。新潟名物の直線コースで争われる「第10回アイビスSD」は、6歳牝馬のケイティラブが逃げ切り、重賞初挑戦初制覇を飾った。これで同レースは牝馬が6連勝。同馬は直線競馬最多の4勝目をマークした。鞍上の西田は96年七夕賞(サクラエイコウオー)以来14年ぶりの重賞V。こちらは重賞制覇の最長ブランク記録を塗り替えた。

 さまざまな思いが頭をよぎったに違いない。先頭でゴールを駆け抜けた西田は、激走したケイティラブをねぎらうように、その右肩をポンと叩いた。「いい馬に乗せてもらったので、期待に応えたいと、がむしゃらに頑張った。短い距離だが、ゴールが遠く感じた」。率直な心境を口にした。
 重賞制覇は実に96年七夕賞以来14年ぶり。その道のりは平たんではなかった。95年に新人騎手賞を獲得したが、98年に交通違反を犯し、翌年に騎手免許を返上。宮城・山元トレセンで働き、05年に騎手免許を再取得して復帰した。「応援してくれる人がいるから、頑張れる」。ブランクについては多くを語らなかったが、今でも周囲への感謝は忘れない。「華のない、地味な、髪の毛の薄いジョッキーですが、これからも頑張ります」。ヒーローインタビューでは控えめかつユーモラスに抱負を披露。その人柄を物語るように、レース後は多くの関係者から祝福を受けた。
 新・直線女王の走りも見事だった。すんなり先頭に立つと、外ラチ沿いに持ち出すことなく真一文字に直線を駆け抜けた。直線競馬4勝は最多記録。西田は「昨夏に乗ったときが強い勝ち方だったので、自信を持って臨んだ。ハナを譲る気はなかったし、そもそも馬が速い。1000メートルのスペシャリストですね」と目を細めた。
 小倉競馬場で勝利を見届けた野元師は来年2月で定年となる。それだけに「そこそこやれると思っていたが、予想を上回る走りだった。最後の夏に勝ててよかった」と大喜びだった。「1200メートルは少し長いが、次は北九州記念(8月15日、小倉)かな」(同師)と今後はサマースプリントシリーズを歩む予定。たぐいまれなるスピードで、1200メートル戦でも旋風を起こせるか。異色の6歳牝馬の走りは今後も要注目だ。

 ◆ケイティラブ 父スキャン 母ウイニングリバー(母の父ムーンマッドネス)牝6歳 栗東・野元昭厩舎所属 馬主・瀧本和義氏 生産者・北海道浦河町・永田克之氏 戦績17戦5勝 総獲得賞金8963万2000円。

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2010年7月19日のニュース