リルダヴァル陣営 2ちゃんねるで励まされた日も

[ 2010年4月29日 10:23 ]

リルダヴァル

 ウマドル・桜井聖良が、皐月賞のレース後を取材。6着リルダヴァルの馬房を訪問し、名門・池江泰郎厩舎の片山調教助手に取材を敢行。最終回となる第4弾では、リルダヴァルの素顔に迫るとともにファンへ向けてのメッセージを紹介した。

リルダヴァル特集1

リルダヴァル特集2

リルダヴァル特集3

 リルダヴァルの調教助手・片山さんのお話を聞いていくうちに、すっかりリルのファンになってしまった私。レース中の表情は大物の雰囲気たっぷり。だから、その素顔を逆に知りたくなってしまいました。

 「わんぱくです。やることなすことわんぱくなんですよ。他の人が自分の馬房に近寄ると、緊張するのか知らないけど、大人しく見せています」。

 ということはリルの性格を一言でいい表すなら、人見知りさん!?ふふふ。ますます愛着が湧きますね。

 「でも、僕が馬房に入るとじゃれてくるし、後ろをぴったりとくっつき回ってくるし、シャツを噛んで離さないんですよ」。

 甘えん坊なところは少し自分と似ているかも(笑)まるで子供みたいですねと言うと、片山さんも「本当にそんな感じです」とうなずきました。

 でも、競馬になると話は別。競馬週になってくると、雰囲気が一変するそうです。「無理に大人に見せようとする感じ」だとか。

 性格もさることながら、体もまだ幼い。だから、片山さんは将来性に大きく期待しながら、今後はみっちり鍛えているようにしています。

 「精神面、心肺機能など中身の部分は一流なのですが、いまはそれに体がついていっていない状態かな。どうしても6カ月というハンデがある馬ですから。だから、これからどんどん鍛えていけたらいいなと思います」。

 7冠馬で21世紀の名馬として絶大なる人気を誇るディープインパクトのおいということで、ファンの多いお馬さん。皐月賞でも多くの方から声援を送られていました。片山さんは、担当者として「それが本当にうれしい」と励みになっています。

 「前走3着(毎日杯)になって、皐月賞6着になって…。2歳の時に化け物性あると言われていた馬だけに、多分みんなが離れていくと思うんですよ、普通なら。でも、中山の馬場からの帰り際に、“頑張ったなー!!”って声が聞こえてきて、それが本当にうれしくて…。見てくれてる人は見てくれてるんだなって思いました」。

 この話を聞いて、思わずウルウルとする私。最後に応援してくださるファンのために、メッセージをいただきました。

 「バッシングとかはしょうがないです。それよりも1人でも応援してくれる人がいるんだったら、次のレースでその人のために頑張ってあげたい」。

 1つ余談です。巨大掲示板「2ちゃんねる」でリルについて事実とは異なる話題が流れたことがあったそうです。片山さんが記者の方から教えられてチェックすると、確かに異なっていたそうです。その反面、思ってもみなかった心温まる書き込みに励まされたとも言います。

 「記者の人から聞いて気になったので、2ちゃんねるを見ると、“そんな病気にもなっていないよ!”というようなことが書かれていて。でも、その中にも“頑張れ!”とか“祐一、男になれ”とかという書き込みを見たときは本当にうれしくて泣きそうになりました」。

 最後に、人馬の信頼と愛情なくては言えない片山さんの言葉を紹介して、締めくくらせていただきます。

 「何を言われようと何があろうと、厩務員としてリルの調教助手として、“俺が守るよ、大丈夫だから”とリルには言いたいですね」。(おわり)(馬バカのウマドル 桜井聖良)

 ≪編集後記≫皐月賞ではリルダヴァルについてインタビューしよう!そう決めた時は、まさかこんなにもお話を聞かせていただけるとは思ってもいませんでした。片山さんと初めてお会いしてお話を伺いましたが、話を聞けば聞くほど、「この事実を、この想いをみんなに伝えたい」と強く思いました。

 私が競馬の世界に飛び込むにあたって、「競馬なんてギャンブルの仕事をするならファンを辞める」とファンの方に言われたこともありますが、決してギャンブルという枠に収まりきれないのが競馬だと私は思っています。

 1頭をレースに出すまで、どれだけの人の愛情と努力が注がれているのか。少しでもこの記事を通してみなさんに伝わったらうれしいです。

 NHKマイルに出走予定のリルダヴァルへ。悔いのない走りで、そして無事に完走をしてね。東京競馬場で待っているから。

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