【弥生賞】ウオッカの後輩ヴィクトワールピサが快勝

[ 2010年3月8日 06:00 ]

<第47回弥生賞>レースを制したヴィクトワールピサと2着のエイシンアポロン(左)

 ウオッカへ届け、この1勝。皐月賞トライアル「第47回弥生賞」(3着まで優先出走権)が7日、中山競馬場で行われ、単勝1・7倍の圧倒的1番人気に支持されたヴィクトワールピサ(牡=角居)が武豊騎手(40)の手綱に導かれ、インから抜けて快勝。重賞連勝を含む4連勝を飾ってクラシック制覇へ大きく前進した。厩舎の大黒柱ウオッカ(牝6)の薫陶を受けた後輩の頑張りに角居勝彦調教師(45)もホッとした表情を見せていた。

 ウオッカの教えは後輩へ、しっかりと継承されていた。直線半ば、ヴィクトワールピサの前には先行馬の壁。だが、人馬とも余裕があった。「空けば抜け出せる手応え。空くのを待った」(武豊)。逃げたベストブルームが下がってスペースができる。すかさず馬体をねじ込んだ。坂上で左ムチ1発。一気にギアが上がり、内で粘り込みを図るエイシンアポロンをかわした。ゴール前では手綱を緩め、着差(半馬身)以上のインパクトでクラシックへと大きく前進した。
 「着差はわずかでも強い内容。空いてからの反応、加速が良かった」。鞍上も納得の勝ちっぷりだ。初めて乗った時からG1を意識した素材。武豊は一戦ごとにテーマを決め、馬がどうクリアするかをチェックしてきた。皐月賞と同舞台、同距離の弥生賞は課題が多かった。最内枠、馬込み、折り合い、長距離輸送、道悪。すべてをクリアして鞍上に7度目の弥生賞Vをもたらした。「いいトライアルになった。弥生賞男?本番男と呼ばれたいね」。武豊は笑わせたが、クラシックに向けての手応えは十分に感じ取った。
 角居師はホッとした様子で「重馬場が合うか分からず不安も多かったが、こなしてくれた。素直な性格で一戦ごとに競馬を学んでいく。特に課題もない」。指揮官の脳裏に浮かぶのは、やはりウオッカ。厩舎周辺の運動でウオッカは、いつも最後列から後輩に、にらみを利かせていた。「もっとキビキビ歩くのよ」。女王様オーラをまき散らしながらヴィクトワールピサやルーラーシップを鍛え上げる様子を、角居師は目を細めながら眺めていた。「(ヴィクトワールピサも)ウオッカが育ててくれたようなものだから…。彼女の思いをつなぐ馬が出てきてくれた」。女王の引退に合わせ、はなむけの勝利をささげた後輩を、指揮官は頼もしく感じていた。
 次は、ローズキングダムが待つ皐月賞。新馬戦で唯一の黒星を付けられた宿敵を倒す舞台だ。武豊は「連勝を続け、あの馬と再戦できる。それがうれしい」と力を込めた。クラシック1冠目の大舞台。ヴィクトワールピサは堂々と2歳王者に挑む。
 ◆ヴィクトワールピサ 父ネオユニヴァース 母ホワイトウォーターアフェア(母の父マキアヴェリアン)牡3歳 栗東・角居勝彦厩舎所属 馬主・市川義美氏 生産者・北海道千歳市社台ファーム 戦績5戦4勝 総獲得賞金1億1155万7000円。

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2010年3月8日のニュース