村上兄弟ワンツー!大舞台で歴史的大仕事

[ 2010年3月8日 06:00 ]

優勝しプレートを掲げる村上博幸。左は2着村上義弘、右は3着山口幸二

 村上兄弟の熱いきずなで弟・博幸がG1初制覇だ。「第63回日本選手権競輪」決勝戦は7日、松戸競輪場で行われ、村上義弘の逃げに乗った村上博幸(30=京都・86期)が追い込んで優勝。賞金6600万円とグランプリ初出場の権利を獲得した。2着は義弘で、G1決勝での“兄弟ワンツー”は76年の前橋オールスター(兄・藤巻昇優勝、弟・藤巻清志2着)以来、34年ぶり2回目の快挙となった。

 偉大な兄・義弘を追った弟・博幸が競輪ダービー決勝という大舞台で最高の結果を出した。「無我夢中で兄の背中を追った」。博幸の競輪人生同様、決勝戦も兄の大きな背中を見ながら懸命にペダルを踏んだ。兄が魂の走りで最終4コーナーを先頭で迎えると“西王座戦決勝(義弘7着、博幸2着)の失敗をしてはいけない”と兄の気持ちに応えるように踏み込んで差し切った。
 ゴール直後に「勝ったと思った」。博幸は右手を大きく上げてガッツポーズ。ウイニングランを続ける博幸に義弘が寄り添い「ダービー王やな」と声をかけると満面の笑みでスタンドの大歓声に応えた。
 「兄の背中を追い続けてきた」。6日の10R準決勝2着で決勝進出を決めた博幸は、義弘が出走する11Rを「鳥肌が立った」と語るほど興奮しながら応援した。義弘が2着で決勝進出を決めると「この大舞台で兄と一緒に走れるとは…。涙が出るほどうれしい」とG1決勝(4日制以上)で初めて同乗できる喜びを表していた。
 大一番を控えた6日夜。兄であり、師匠でもある義弘は「ワンツーというのは(2人の)夢やから、オレが獲りにいくから」と博幸に伝えた。博幸は兄の気迫に負けない強い気持ちで発走台に立った。
 「G1初優勝とかグランプリ初出場とかの実感は、まだありません。ただ、自転車を始めて厳しい練習とか、いろいろなことが走馬灯のように浮かんできました。すべて兄のおかげです」。今年最初のG1は“村上兄弟”の名前を歴史に刻んで幕を閉じた。

 <弟導き納得の2着>弟・博幸をダービー王へと導き、2着に逃げ粘った兄・義弘は納得の表情。「博幸を勝たせるとかではなく、自分の力を出し切らないと、この結果にはならなかった」。表彰式を終えると「ダービーでのワンツーは夢より遠いもの。僕ら兄弟が競輪の歴史に名前を残すことができた」と誇らしげに胸を張った。弟が初のグランプリ(12月30日、立川)出場権を獲得、兄も準Vで賞金を大幅に上乗せしたことでグランプリ兄弟連係が現実味を帯びてきた。昨年はグランプリ前日に行われたSSカップみのりでの兄弟連係だっただけに「今年は12月30日に(博幸と)集合したい」と力強く語った。
 ◆村上 博幸(むらかみ・ひろゆき)1979年(昭54)4月15日、京都府生まれの30歳。私立花園高卒。01年8月プロデビュー。通算成績は681戦167勝。通算取得賞金は3億1971万円。主な優勝はG2・第20回共同通信社杯(07年)。師匠は兄。1メートル67、73キロ。血液型O。

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2010年3月8日のニュース