“村上ブラザーズ”悲願かなえる時がきた

[ 2010年3月7日 06:00 ]

<日本選手競輪5日目>決勝での健闘を誓い合う兄・義弘(左)と弟・博幸の村上兄弟

 千葉・松戸競輪場で開催中のG1「第63回日本選手権競輪」は7日、最終日を迎えて第11Rで決勝戦が争われる。準決勝を力強い走りで勝ち上がった山崎芳仁―伏見俊昭の福島ゴールデンコンビを本線に推したが、村上義弘―村上博幸の“兄弟の熱い絆(きずな)”も焦点となり、優勝賞金6600万円(副賞含む)と“競輪ダービー王”の栄誉を懸けた一番は激戦が繰り広げられる。

 ついにこの日がやってきた。G1(4日制以上)決勝での“村上ブラザーズ”連係。それもG1最高峰の競輪ダービーだ。「この大舞台で兄と一緒に走れるとは…。涙が出るくらいうれしい」と弟・博幸は素直に喜びを語った。
 義弘(兄)―博幸(弟)の連係は8回目。地元の向日町記念決勝(2月)でワンツー(義弘1着、博幸2着)を決めたシーンは記憶に新しい。村上兄弟と、平原康多―神山雄一郎のまくり合戦だった。博幸が平原をブロック、それでも踏み続ける平原を義弘がけん制。地元ファンの大声援を浴びながら、村上兄弟が誰よりも早くゴール線を駆け抜けた。
 ダービー決勝を前に博幸は兄の前回りを志願した。だが「お互いの持ち味を出した方がいい」と義弘は互いの競走スタイルを重視すべきと説得。義弘―博幸の並びで勝負に出る。「しっかり調整できているし、集中力も高いところで走ることができている」と義弘が言えば、博幸は「腰の状態もいいので脚は軽く感じる。僕は追い込み選手だし、兄の後ろでしっかり役割を果たしたい」。役割分担が決まった今、2人はあうんの呼吸で連係する。
 積極性で上回る義弘が主導権を奪えば、兄の背中を追う博幸が意地でも別線のまくりを封じるだろう。どんなラインよりも熱く、固い絆で結ばれた村上兄弟。76年の前橋オールスター決勝でワンツーを決めた藤巻兄弟(昇1着、清志2着)以来、34年ぶり2回目の偉業を義弘と博幸が決めてみせる。
 <海老根準決勝で敗退>地元のエース海老根恵太は石橋目標から決勝進出を狙ったが、6着に終わり準決勝で敗退した。レースは打鐘過ぎに石橋が北日本勢に叩かれ、すかさず村上義―加藤―山田が主導権を奪う展開。切り替えた海老根は2角からまくって出たが、前団をとらえることはできなかった。「石橋君が頑張ってくれたけど…。しようがない。村上さんが仕掛けたときに切り替えようと思ったが、スピードが違った」と小声で敗因を話した。

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2010年3月7日のニュース