車中の教科書と往復送迎の家族愛――7限目のフルール・清水埜乃椛 「歯車」を支えた母の言葉
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長野・佐久長聖高校の学校公認アイドルグループ「7限目のフルール」で活動する清水埜乃椛は、青春のまっただ中にいる一人だ。スポニチ東京本社でのソロインタビューで語ったのは、きらびやかなステージの裏側にある、ごく当たり前の日常と、その歩みを静かに支え続けてくれる家族の存在だった。(推し面取材班)
7限目のフルール特集|全員独占ソロインタビュー
冬の長野の朝は、空気がきんと澄んでいる。まだ夜の名残が色濃く残る街を、車のエンジン音だけが静かに走り抜ける。メンバーと合流し、学校のハイエースに乗り換えて、3時間かけて東京へ向かった。
学校がある日は、毎朝6時半すぎに家を出る。その車内で教科書を開くのが、いつの間にか日課になった。
「入りたての頃は、学業とアイドルの両立って言葉では言えるんですけど、実際どうやればいいのか分からなくて。土日は活動があって、平日は学校とレッスン。『どこで勉強するんだろう』って、ずっと悩んでいました」
行きの車内で勉強してみる。少し早起きして机に向かってみる。いろいろ試しながらも、うまくいかない時期が続いた。
「だんだん自分の中で追い詰められて、活動と勉強の間でストレスが溜まってしまって。でも、親と話したり、いろんな人に相談したりして、自分に合うやり方を見つけて、今は乗り越えられています」
インタビューの最中、清水が無意識のように膝元へ視線を落とす場面があった。今は何も置かれていないが、普段は移動の車中に教科書がある。
「正直に言うと、不安は大きかったです」
「アイドル」という肩書きを背負った日のことを、そう振り返る。入学前年に新設されたパフォーミングアーツコースの2期生として、同期と顔を合わせた瞬間。期待よりも、緊張のほうが勝っていた。
「人と関係を作るのが、あまり得意なタイプじゃなかったので……」
それでもこの道を選んだのは、幼い頃から心のどこかにあった「人前に立ちたい」という思いと、「文武両道」を掲げる学校の環境に惹かれたからだった。
ただ、現実は想像していた以上に忙しい。平日は授業とレッスン、週末はライブやイベント。1日は24時間しかない。
「学業とアイドルの両立って言葉では簡単に言えるんですけど、実際どうすればいいのか分からなくて」
余裕を失うと、考えは堂々巡りになる。重圧とストレスで、心が揺れることもあった。
そんな時、現実へ引き戻してくれたのが、母の言葉だった。
「今やってることは、全部無駄じゃないよ」
その言葉は、行動とともにあった。小諸市の自宅から学校まで、電車ではなく、両親の送迎が日常を支えている。まだ街が眠っているような時間から、ハンドルを握り続けてくれた。
助手席や後部座席で教科書を開く時間は、少しずつ定着していった。
「朝は苦手で夜型なんですけど、1ページでも1問でもいいから、とりあえず教科書を開こうって決めました。『やる』って決めないと切り替えができなくて」
簡単なことではない。それでもページをめくる。家族が自分のために時間を割き、生活を回してくれている。その事実が、「無駄じゃない」という言葉に、確かな重みを与えていた。
グループの中での役割を尋ねると、少し照れたように、しかし迷いなく答えた。
「自分では、ナナフルを回す歯車みたいな、元気印の存在かなって思っています」
主役でも、先頭でもない。それでも止まらずに動き続け、場を明るくし、流れを整える存在だ。
「日々、頑張る人でいたいです」
派手さはない。だが、毎日の積み重ねを大切にしてきた人だけが持つ誇りがにじんでいた。
3月、3年生は卒業する。「やっぱり心細くなると思います」
そして、2年生である自分たちにも終わりは近づいている。
「私たちの代でナナフルが終わってしまうので、ちゃんときれいな終わり方をしたい。先輩たちが作ってきたものを受け継いで、『7限目のフルールって、ちゃんとあったんだよ』って残したいです」
清水の青春には、高校生としての日常と、アイドルとしての責任、そして家族から受け取った確かな支えが重なっている。
この日、取材から東京でのイベントを済ませ3時間かけて長野へ戻った。そこから小諸市への帰り道、また迎えの車のシートに身を沈めた。家族に支えられ、ナナフルの歯車は今日も元気いっぱいに回り続ける。
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