首のケガで絶たれた夢、それでも舞台に――「.BPM」森山小百合が描く“自分が主役”の物語

[ 2025年12月29日 12:05 ]

【画像・写真2枚目】高音が怖かった、それでも歌った――.BPM森山小百合が「ロマンティックに溺れたいの」で越えた一線(撮影・源有紀子)
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 12月2日に初アルバム「The .BPM WONDER」をリリースし、来年1月8日にはグループ史上最大規模となるZepp Shinjukuでのワンマンライブを控える「.BPM」。その中心で、誰よりも楽しげにステージを舞う森山小百合が、スポニチ東京本社でのソロインタビューに応じた。語られたのは、首の怪我によって閉ざされたダンサーとしての未来と、仲間から注がれた熱烈なラブコール。挫折の先に待っていたのは、「自分」が主役になる物語だった。(「推し面」取材班)

 ダンサーを夢見ていた中学生の頃、診察室で告げられた言葉が、人生を大きく変えた。二度目となる「首のねんざ」。医師は淡々とこう言った。

 「この短期間でこの頻度は珍しい。これを仕事にしていくのは、難しいかもしれない」

 その一言で、十数年積み上げてきた汗と涙が音を立てて崩れ落ちた。世界から一気に彩度が失われた瞬間だった。

 そんな経験を持つ森山が今、フリルのついたアイドル衣装を身にまとい、スポットライトを浴びて歌い踊っている。

 「もともと、アイドルが特別好きだったわけではないんです」

 ルーツはヒップホップ。エミネム好きの父親の影響で、3歳からダンスを始めた。物心つく前から、身体は自然とビートを刻んでいた。

 「小学生の頃、コーンロウで学校に行ってました(笑)。ただ、タトゥーとピアスは禁止という、かなり厳格な家庭でしたけど」

 全国大会を視野に入れ、汗をかくことだけが正解だと信じ、鏡と向き合う日々。だが激しい動きが続く中で、小学生の頃に一度、そして中学生で再び首を痛めた。プロダンサーを夢見た少女の未来は、診察室で静かに断ち切られた。

 一度は空っぽになった器に、転機が訪れる。夢を広げようと始めた芝居の勉強。その延長で顔を出したスカウトの場だった。

 「30社くらいから声をかけていただいたんです。でも、全部アイドル事務所で(笑)」

 想像もしなかった世界から、30もの「是」が降り注ぐ。

 「そんなに言っていただけるなら、やってみようかな」

 流されるようでいて、どこか自分を求めてくれる場所にすがるように開けた扉。だが、そこはこれまでの価値観を根底から覆す世界だった。

 「ダンサーの時は“作品”を見に来る方が多かった。でもアイドルは、『私のために』来てくれる人がいる。私のTシャツを着てくれる人がいる。“自分自身を見てもらえている”っていう感覚があって、気づいたらはまっていました」

 高校2年生で「代々木女子音楽院」に加入し、王道スタイルのグループで3代目リーダーも務めた。順調に見えた活動の中、大学4年生を迎えた頃、ひとつの区切りを考えていた。

 「やりきったし、もう辞めようかな」

 そんな時に届いたのが、姉妹グループの「.BPM」でリーダーを担っていた高任芹奈からの声だった。3度にわたるカフェでの面談は、単なる勧誘ではなかった。2時間におよび熱意を伝えられた。

 「せりちゃんの音楽への思いとか、.BPMを本当に愛している気持ちが伝わってきたんです」

 オリコン1位、アルバム制作、大きな会場でのワンマンライブ――。胸の奥にしまい込んでいた夢が、静かに顔を出した。そして高任の一言が、背中を押す。

 「そろそろ、決断したほうがいいよ」

 2024年、.BPMへの加入を決意。再スタートからわずか1年半で、アルバムリリース、Zepp Shinjukuでのワンマン開催決定と、夢を次々と現実にしてきた。

 「本当に、いい決断だったなって思います」

 一方で、.BPMは決して「キラキラ」「カワイイ」を押し出した王道スタイルではない。独自性の強い音楽性ゆえに、簡単には“バズらない”現実もある。

 「こんなにいい曲なのに、ってメンバーと話すこともあります」

 王道スタイルのグループとの対バンライブでは浮いてしまう瞬間もある。それでも森山は、自分の役割を冷静に見つめている。

 「私は見た目や声が王道寄り。だから入り口になって、そこから楽曲を深く知ってもらえたらって思っています」

 大切にしている言葉は「一期一会」。小学生の頃に好きだった漫画のキャラクターが由来だが、今は活動を通してその重みを実感している。

 「Zeppに来てくれる1000人にも、1000通りの出会いがあると思うと、本当に素敵だなって」

 そして迎える2026年1月8日、Zepp Shinjuku。首の怪我で未来を失ったあの日から始まった物語は、今、一つの光へとつながろうとしている。

 ダンサーの夢を失った絶望は、自分自身の居場所へと続く扉だった。

 「アイドルになってこの8年、仕事で悩んだことがないくらい、毎日が楽しいんです」

 診察室で限界を告げられた過去と、歓声に包まれる未来。森山小百合の物語はこれからも輝きを放ち続いていく。

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