【藤あや子 我が道28】がん手術2週間で仕事復帰 医師に宣告された瞬間に…

[ 2025年12月29日 07:00 ]

入院中に点滴をしたまま院内を移動(オフィシャルブログ、あや子日記から)
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 昨年3月の大阪・新歌舞伎座公演の前、体に異変が起きました。腰痛がひどく、おなかが張ったため、主治医の下で検査しました。大阪滞在中の私に代わり、夫に結果を聞きに行ってもらうと「異形細胞増殖症」とのこと。子宮体がんへ進行するリスクが高い病気で「限りなく黒に近いグレーです」と伝えられたそうです。「大阪から戻ってきたら、婦人科の専門医に子宮の細胞の検査をしてもらいましょう」という話になっていました。

 新歌舞伎座公演を終えて帰京すると、どうも夫の様子が変です。夫はさまざまな事態を想定して調べていたようでした。がん化して転移する可能性があるので、子宮や卵巣を全部摘出する手術の可能性を指摘する夫に「がんじゃないから、手術なんてしない」と私。結婚後、一度もケンカしたことがない2人の間に意見のズレが生じました。とりあえず、細胞検査は受けることにしました。その時「検査結果が出るまでに2週間ぐらいかかります。万が一、手術が必要になるかもしれませんから、仮予約をしておきますか?」と聞かれました。自分の気持ちの中では、手術する気は全くありません。でも、仮予約ぐらいしておいても問題ないかな、という軽い認識でした。

 その検査結果が出ました。「一部、がん化しています」と医師に言われた瞬間「あ、先生、すぐ取ってください」と頼んでいました。通常、がん告知は衝撃的なものですが、私は驚きよりも「早く悪いものは取ってしまおう」という切り替えの方が先に来ました。そんな姿を見て、夫はそれまでずっと私の死の覚悟をしていたことを打ち明けました。

 仮予約通り、前日の5月1日に入院し、2日に手術を受けました。幸い、子宮の一部にがん細胞があるだけで転移しておらず、子宮中で収まっている状態ということでした。しかし、万全を期して子宮と卵巣を全部摘出しました。「ダビンチ」という、遠隔操作の機械を使った手術で、腹部5カ所ほどに5ミリほどの穴を開けて患部を切除する、体に最も負担が少ない方法でした。体への負担が軽い術式だったことも事実ですが、自分のせっかちな性格もあり、急ピッチで回復しました。翌日「点滴を早く外すのにはどうしたら良いのですか?」と医師に尋ねました。「重湯などの食事を自分の口から取れるようになることです」「はい、ちゃんと食べます!」

 ありがたいことに、坂本冬美さんが私直伝の茶わん蒸しを作って持ってきてくれました。しっかりと栄養補給に努めた結果、入院から5日後の6日、退院することができました。それまで運動をしてきたので、体力もあったのでしょう。我ながら驚異的な回復力でした。15日にリハーサルを行い、翌16日に明治座で行われたコロッケさんとの舞台で仕事復帰を果たしました。せっかちにもほどがありますが、基本は先手必勝。何事も早め早めに対応することが大事だと信じています。

 ◇藤 あや子(ふじ・あやこ)1961年(昭36)5月10日生まれ、秋田県角館町(現・仙北市)出身の64歳。民謡歌手として活動後、87年に村勢真奈美の芸名で「ふたり川」でデビュー。89年、藤あや子に芸名を変え「おんな」で再デビュー。92年「こころ酒」で日本有線大賞を受賞、第43回NHK紅白歌合戦に初出場、21回出場している。新曲「想い出づくり」など「小野彩(このさい)」のペンネームで作詞・作曲も行う。

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