石川さゆり 輪島塗の新たな作品を鑑賞 「学生のみなさんが形にしてくれてうれしい」

[ 2025年12月17日 11:00 ]

「つづくかたち展」で学生や関係者に囲まれ笑顔を見せる石川さゆり(中央)
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 【牧 元一の孤人焦点】歌手の石川さゆり(67)が12月16日、東京・上野の藝大アートプラザで開催中の展示会「つづくかたち展~輪島塗と能登の人々~」(21日まで)を訪れた。

 製作は東京藝術大学美術研究科デザイン専攻第二研究室の学生たち。展示物は昨年1月の能登半島地震で被害を受け修復不可能となった輪島塗を使った作品の数々だ。

 例えば「カケラグラフィック」は傷になった部分をあえて生かした作品。製作した石井浩一さんは「傷が魅力的に見えるにはどうしたら良いか考え、傷の形をグラフィックに見立て、そのシルエットを取り込んだ」と説明。石川は「おしゃれ。こんな膳があれば若い人が興味を持ちそう。傷が傷ではなく個性になっている。これまでの積み重ねの中に新たな物が加わった感じ」とたたえた。

 「Pulse…」は銅と電球を施した作品。平川紗里奈さんは「拡張して新しい生命体にした。Pulseには脈動の意味があり、この先も変化し続けたらいいという思いを込めた。和室に置くとかわいいと思う」と説明。石川は「これはアート。輪島塗が違う物になって生命がつながっている感じ。私自身もこれからもPulseしていきたいと思う」と目を輝かせた。

 石川は昨年12月、石川県能登町の「復興応援特命大使」に就任。以前から交流があった同町の宿「ふらっと」の船下智香子さんらが地震の被害に遭った輪島塗を洗浄、修復、再塗装する活動に従事していることに賛同し、旧知の東京藝術大学美術研究科デザイン専攻第二研究室に協力を求めた。

 クリエーターの箭内道彦教授が指導する同研究室と石川の交流は2022年のデビュー50周年の直前から。当時コロナ禍で日本の学生たちが通学もアルバイトもできないというニュースに接して心を痛めていた石川が、50周年に関わるビジュアルのデザインを同研究室の学生に仕事として依頼した。

 今回、同研究室の学生たちは7月に能登町を訪れ、修復不可能で行き場を失った輪島塗などが収められている施設を見学した。

 石川は「同じ物を見ても感じることはそれぞれ違う。それがこの展示会に表れていて、見て感動します。若い人たちの頭はこんなに柔軟なのかと思います。復興大使と言っても私1人では何もできません。若い人たちが動くことで何かが動く。人がつながり、みなさんが動くことで大きな物が動く。これから新しい能登を作って行ってほしいという思いを、学生のみなさんが形にしてくれてうれしいです」と語った。

 輪島塗への思いは強く、昨年末のNHK「紅白歌合戦」では各出演者に修復済みの漆器を贈っていた。しかし、能登町の復興への道はいまだ険しく、船下さんによれば、修復できない漆器も数百点残っているという。

 石川は「とにかく、忘れないこと、継続することが大事だと思います。みなさんには何より能登に行って頂き、そこで暮らしている方々の魂を感じて頂きたい。私が行ったり来たりしていることに対して農家のおかあさんたちが感謝の思いから歌を贈ってくれたことがありました。子供の縦笛などを持って毎朝みんなで集まって『能登半島』を練習してくれました。その動画を見た時、涙が出ました。私の方が感謝しなくちゃいけないと思いました。能登の方々は優しいです」と語った。

 今回の展示会はそんな温かい交流が発展して結実したものだ。

 「ご縁がうれしいです。19歳で『能登半島』を歌った時は特に何も感じず『遠いところだな』と思ったくらいでしたが、50年近くたって、このようになるのはありがたいこと。これが幸せなのだと思います」

 活動はさらに続く。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) スポーツニッポン新聞社編集局文化社会部。テレビやラジオ、音楽、釣りなどを担当。

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