【岸本加世子 我が道28】母と離婚した父のお世話も 探した最初の施設はとんでもなく…

[ 2025年11月29日 07:00 ]

マグロ漁船の船員だった実父。出航を見送った時の1枚です(1965年)
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 現在は継父の介護にいそしむ毎日ですが、その前には実の父親の面倒も見ていたんです。実父は私が6歳の頃に母と別れました。その後、再婚した奥さんに先立たれてしまい、その段階で要介護2でした。自宅の近くにアパートを借りて父を住まわせました。

 足がおぼつかないので、トイレに行こうとして転んだり、冬になるとストーブを倒してしまったりしかねない。火事が起きづらいといわれるストーブもありますが、それでもやっぱり怖い。

 ある日、自分で119番して救急車を呼んでしまったことがありました。電話をかけたり、玄関の鍵を開けたりもできないはずなのに…。訪問介護のヘルパーさんには来ていただいてましたが、限界を感じ、すぐに有料の老人ホームを探し始めました。

 その中から一番良さそうな施設に入れたのですが、これがとんでもなくひどかった。父は入所した途端に表情を失い、見舞いに行っても次第に視線も合わせなくなっていきました。

 個室ですが、掃除が行き届いておらず、部屋の家具などにもうっすらとホコリがたまっている。声かけなどもなく、ほとんど放置されていたようです。誰にも相手にされないせいか、まるで抜けがらのようになってしまいました。

 「こんなところには置いておけない」と思い、すぐに退所の手続きを始めましたが、出ていく日も施設長や看護師も誰ひとりとして見送りに出て来ませんでした。

 その後、自宅からもほど近い日本赤十字社の特別養護老人ホームに移ってすぐに父も生気を取り戻し、表情も戻っていきました。声かけやレクリエーションがちゃんとあって、その効果が出たんでしょうね。

 マグロ漁船の船員だった父。静岡県の焼津港に出船を見送りに行った写真も残っています。母と離婚し、それぞれの道を歩みましたが、そんな実の父も既に彼岸の人です。

 超高齢化社会の到来だけでなく、気候変動など日本はどうなってしまうのでしょう。私の出身地、静岡県島田市の隣の牧之原市が9月に日本最大級の竜巻に襲われて大きな被害を受けました。

 その上、日本は地震列島。猛暑も年々ひどくなっている。今年から「夏の甲子園」も暑さ対策の一環として8月5日から10日までの6日間、「午前の部」と「夕方の部」の「2部制」に分けて試合を行ってましたね。

 夏のオリンピックも世界規模で酷暑が続くようでは、開催すること自体が難しくなっていくような気がします。地球は問題山積みです。

 ◇岸本 加世子(きしもと・かよこ)1960年(昭35)12月29日生まれ、静岡県島田市出身の64歳。77年、テレビドラマ「ムー」で女優デビュー。以降、テレビ、舞台、映画、CMなどで幅広く活躍。ドラマ「あ・うん」、舞台「雪まろげ」、北野武監督の映画「HANA―BI」「菊次郎の夏」など代表作多数。著書に小説「出てった女」、エッセー「一途」など。

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