桂米舞「師匠、師匠の奥さん、夫が私の人生の恩人」噺家になった記念日に結婚 公私ともに新しいスタート
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五代目桂米団治に入門してまもなく丸4年となる桂米舞(26)。今年1月29日に無事、年季明け。その3日後、噺家になった記念日の2月1日に学生時代から交際していた一般男性と結婚した。公私ともに新しいスタートを切り「古典落語をしっかりやる噺家になります」と精進する日々だ。
いつも見せる愛くるしい童顔と、軽やかな声。だが、長い間、心身ともに落ち込み、苦しい時間を過ごした。
子どものころからお笑いと芝居が好きだった。和歌山・田辺から大阪まで芝居を観に出かけた。「舞台に立ちたい」という夢を持っていたが「自分には特技がないから」と諦めた。おぼろげながら、テレビの制作に携わることを頭に描き、関西大社会学部のメディア科へ進んだ。
お笑いをやりたくて落語研究会に入会。それまで落語を聞いたことは一度もなかった。たまたまテレビで好きだったのが桂ざこばさん。「ざこば師匠の落語を聞いて、メチャおもしろかった」と落語にはまった。だが、大学2年のころから体調を崩し、学校にも行かず引きこもるように。心身ともにどん底を味わった。
引きこもる姿を見た友人が落語会へ。「ギリギリの状態でした」と。20年3月の「桂米朝五年祭」に連れて行かれ、ざこばさんのファンだったが、ここで初めて会った米団治師匠にキュン。「ひと目お会いして、この方の弟子になりたいと心から思った」と視界がパッと開けた。関大の先輩である桂米輝に相談し、アルバイトをしながら車の免許を取得。「3カ月コースだったけど、センスがなくて1年かかった」。
21年秋、米団治のトークショーの後に直接弟子入りを志願。手紙を渡した時に「この世界、厳しいで」と言われた。だが、切実な思いが伝わったのか、すぐに喫茶店で面談。米舞が身の上話をして「師匠の落語を拝見して、落ち込んでいた私に生きる希望が出てきました」と泣いて訴えた。その思いを受け止めた米団治は「大変やったんやな。明日から見習いに来なさい」と弟子入りを認め、米舞は大学を中退した。
見習いを3カ月。その後、師匠宅に住み込みで着物のたたみ方、箸の上げ下ろし、立ち入る振る舞い、言葉遣いなど「社会常識を教えていただきました」。師匠、師匠夫人の2人には「ホントの子どもみたいに厳しく叱ってもらい、愛情深く育てていただいて。1人前の人間にしていただいた感じです。お二人には感謝の言葉しかありません」と言う。
「三遍稽古(さんべんげいこ)」で最初に教わったのが「東の旅・発端」。覚えが悪かったことで「録音はダメで、その場で覚えたことをノートに書き出して師匠が添削。繰り返しやって、やっと1ネタです」。年季明けに3年かかった。
来年1月20日に動楽亭(大阪市西成区)で開催される一門の研鑽会「俺が一番おもろい」に出演する。「今は自分の勉強会にお客様を集めることの難しさを克服することが課題です」。今年3月の初めての勉強会ではそれなりに集客したが、今夏の2回目の勉強会では30人キャパの落語会で17人のお客様。それも同席した先輩の客がほとんど。「100人、200人を簡単に集められる噺家になりたい。そのためにもネタの数を増やさなければ」と目標を掲げる。
入門1年目からNHKのテレビ番組に抜擢され、2年目には師匠の付き人として行った舞台で、演出家・わかぎえふ氏に認められ、舞台出演を果たした。3年目にはラジオのレギュラーも。師匠の米団治から「強運やなあ」と表される。名前の「米舞」は正式入門の1カ月前の22年1月1日に師匠に付けてもらった。当初は「米寿」などが候補に挙がったが、ちょうど同じころから襲名を考えていた桂ちょうば(現四代目桂米之助)が「米舞(まいまい)」は姓名判断の本などで調べて大吉、強運の名前だと教えられたそうだ。
最高の名前をもらい「師匠と師匠の奥さんと夫が私の人生の恩人です」。米団治師匠の落語会に連れて行ってくれた友人が何を隠そう夫だ。これまで支えてくれた3人に、何とか恩返しをしたい。そのためにもまずは高座での力をつけるのが一番だ。(演芸担当)
◇桂 米舞(かつら・ままい)本名=三好智華。1999年(平成11年)10月24日、和歌山県田辺市出身の26歳。関西大中退。22年2月、五代目桂米団治に入門。趣味はかわいいモノ集め、観劇。
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