大森南朋 変幻にして不変 血の気の多い役も温厚な役も好評 「人殺しも家政夫もヤクザもみんな人間」

[ 2025年8月17日 05:00 ]

笑顔を見せる大森南朋(撮影・会津 智海)
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 【俺の顔】優しく穏やかな家政夫からコワモテの極道の男まで、さまざまな顔を自在に演じ分ける大森南朋(53)。幅広い役を難なくこなす演技の根底にあるのは、どんな役柄も「みんな人間である」というシンプルな思考。役の理解度を深める準備と豊かな表情で、繊細な演技を生み出している。(塩野 遥寿)

 ジッとにらむようなまなざしをカメラのレンズに向けたかと思えば、笑顔のリクエストには別人のように表情を一変させた。目尻が下がり、パッと笑顔の花が咲く。「高校生の頃、友達に言われて“笑うとこんなに顔が崩れるんだ”ということに気づいたんです。素の表情は怖そうに見えるけど、笑うと可愛いって。思春期だったので意識しちゃいましたね」と優しく笑う。「演技にも生かせているし、いいなと思います」。真顔と笑顔のギャップは、自他ともに認める大きな武器だ。

 10代からバンド活動に打ち込んでいたが、父で俳優の麿赤児(82)の勧めもあり、21歳で俳優の道へ。オーディションを突破した三池崇史監督の「殺し屋1」(2001年)で映画初主演を果たした。「映画俳優としての世界に上がることができた実感があった」と手応えをつかんだ2年後、寺島しのぶ(52)演じる主人公と行きずりの恋に落ちる元ヤクザのトラック運転手役で映画「ヴァイブレータ」に出演。同作はベネチア国際映画祭に出品されたほか、自身はキネマ旬報ベストテンで助演男優賞を受賞した。

 いまやいくつもの“顔”を見せる柔剛自在の演技派。北野武監督の映画「アウトレイジ 最終章」(17年)では血の気の多い極道の男になりきり、TBSドラマ「私の家政夫ナギサさん」(20年)では、ワイルドなイメージを覆す誠実で温厚な家政夫を好演した。

 両極端にも思える役柄。だが大森は「凄く簡単に言うと、全員人間じゃん?」と言ってのける。「ゴリラや宇宙人を演じてくれと言われたら難しい。でも、人殺しも家政夫もヤクザもみんな人間。なんとなく自分の中でイメージして、そういう準備をしていけば監督がそのように撮ってくれる」。結果的に、ヤクザも家政夫もどちらもハマり役だと思わせてしまう。

 役作りは「役の気持ちを理解する」ところから始まる。「特殊な役を演じるなら、それなりの準備をしなきゃいけない。実際にその仕事を体験させてもらったり、その仕事をしている方に考え方を聞く中で、少しずつ役を入れていきますね」。「…ナギサさん」では家事代行サービス業者の関係者からテクニックを教わり、慣れない料理や裁縫を習得。愛くるしい家政夫のキャラクターを見事に仕立て上げ、「癒やし系おじさん」としての新境地を切り開いた。

 私生活では12年に女優の小野ゆり子(36)と結婚、19年には長女が誕生した。「家に帰ると“おかえり!”って走ってきてくれる。リフレッシュできますし、子供の顔を見ると救われます」と父としての顔ものぞかせる。いずれ来る思春期を想像して「不安しかないです。嫌われたくないね」と眉を下げた表情は哀愁たっぷり。真剣な表情で演技について語っていたのがうそのようで、愛らしさすら感じさせた。この力みのない人間くささと豊かな表情が、見る者の目を引きつける演技の秘訣(ひけつ)なのかもしれない。

 ≪「大追跡」では頭脳派刑事役 昭和かたぎで娘にメロメロな一面≫放送中のテレビ朝日ドラマ「大追跡~警視庁SSBC強行犯係~」(水曜後9・00)でも、大森はさまざまな顔を見せている。嵐の相葉雅紀(42)、松下奈緒(40)とのトリプル主演で話題となっている刑事ドラマ。大森が演じているのは、防犯カメラ映像を収集し、分析・解析する頭脳派の刑事だ。昭和かたぎで武闘派な一面もある一方で、私生活の大森と同様に娘にメロメロな父でもある。早くもシリーズ化を期待する声が視聴者から上がっており「キャスト全員が長寿化を待ち望んでいます」と力を込めた。

 ◇大森 南朋(おおもり・なお)1972年(昭47)2月19日生まれ、東京都出身の53歳。93年に俳優デビュー。07年にNHKドラマ「ハゲタカ」に主演し、09年の劇場版で日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞。主な出演作に映画「東京プレイボーイクラブ」、大河ドラマ「どうする家康」など。趣味はギターで、ロックバンド「月に吠える。」でギター&ボーカルを務める。兄は映画監督の大森立嗣氏。

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