「あんぱん」千尋役が話題・中沢元紀「心の中で生き続ける」 2カ月で8キロ増量…挑んだ初朝ドラ裏側

[ 2025年6月24日 08:15 ]

千尋役を熱演した中沢元紀(C)NHK
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 NHK連続テレビ小説「あんぱん」(月~土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)は24日、第62回が放送され、戦地から帰還した柳井嵩(北村匠海)が最愛の弟・千尋の戦死を知った。生還を待ち続けた祈りは届かず、視聴者の間では「千尋ロス」が広がった。千尋役を好演した俳優・中沢元紀(25)に「体重を8キロ増量した」というストイックな役作りの舞台裏や自身初となる朝ドラ出演への思いを聞いた。(那須 日向子)

<※以下、ネタバレあり>

 2022年俳優デビュー。23年TBS日曜劇場「下剋上球児」でエース・犬塚翔を演じ脚光を浴びた中沢。やなせたかしさんと妻の暢さんをモデルに「アンパンマン」が生まれるまでの夫婦の軌跡を描いた物語で、オーディションを経て朝ドラ初出演を果たした。

 「父さん、僕なんかよりずっと優秀な千尋を守ってくれればよかったのに。生きて帰ってくるのは、僕じゃなくて千尋なら良かったのに」。第62回では、戦地から帰還し柳井家に戻ってきた嵩は千尋の死を知る。

 結局、最後の対面となってしまった「小倉での兄弟再会」シーン(第54回、6月12日)。「この戦争さえなかったら、愛する国のために死ぬより、わしは愛する人のために生きたい」。この5日後に佐世保から駆逐艦に乗り込む千尋は、のぶ(今田美桜)への隠していた恋心、戦争へのやるせない思い…兄へ初めて本心をぶつける。約12分「ほぼ通し」で撮影したという“兄弟二人芝居”は「痺れた…」「圧巻」「神回だった」とSNS上で大きな話題となった。

 2歳下の弟・柳瀬千尋さんと小倉の旅館で再会したのは、やなせ氏の著書にも残されている史実。中沢はこの“再会シーン”ありきで起用されていた。制作統括の倉崎憲チーフ・プロデューサーはオーディションを振り返り「“あのシーンにハマる人は誰か?”という観点でも探していました。中沢さんのピュアな目や誠実な人柄が凄くピッタリでした」と明かしている。

 ところが中沢は、兄弟再会シーンでは「やりきったという感じは全くなかった」という。「放送されたシーンは涙を流していないのですが、テストの時、僕はボロボロ泣いていたので、どっちがいいのか匠海さんと話し合いました。兄弟としてであれば、涙が流れる。でも軍人としてであれば、涙を流さず“行ってきます”と言う。そんな話をしました」と“兄弟”で真摯に向き合った。

 撮影を終えた今でも「涙が必要だったのか、これが本当に100%だったのかという思いがあります。視聴者の皆さんの反応で“良かった”と思うのか…それまでずっと不安」と自問自答。それほど「全身全霊で臨んだシーン」だった。

 そして嵩が弟の死を知った今回。北村がどのような芝居をしたのか知らないため「このシーンを見たら絶対泣いちゃいますね。この回が放送されてから“やりきった”と思うのか…自分の心境の変化も気になります」と話す。

 撮影後も深く考え続けるが、それだけ「あんぱん」での経験は実りの多いものになった。実はストイックな肉体改造にも挑戦。クランクイン前にはテレビ東京ドラマ「ひだまりが聴こえる」(2024年)で難聴の大学生・杉原航平役を演じており華奢な体つきの役柄だった。そのため柔道黒帯の腕前の千尋を演じるにあたって短期間で「8キロ増量した」という。

 「まずは柔道家に見える体作りをしました。柔道をしている人は腕、肩周り、胸あたりががっしりとしているイメージがあったので1カ月半から2カ月間ほぼ毎日ジムに通いました。体重を増やして、筋肉に変えていきました」

 精神面でも肉体面でも全力で千尋を表現。悲しい別れが描かれたが、撮影を終えた今「さみしさはない」と晴れやかな表情を浮かべる。「千尋がいたからこそ『アンパンマン』ができたと思います。そういう意味では、嵩の心の中で千尋が生き続けていますし、のぶの中にも千尋がいる」

 柳瀬千尋さんは22歳で戦死。やなせさんは詩集「やなせたかし おとうとものがたり」(フレーベル館)で「いつまでも僕の心の中では歳を取らないで“兄貴また頼むよ”と言っている」と亡き愛弟への思いをつづっている。戦火に散ってしまった千尋。しかし嵩やのぶ、視聴者の心にはずっと生き続ける。

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