もっと個性を出して大きく羽ばたけ!七代目円楽

[ 2025年4月6日 19:00 ]

七代目三遊亭円楽襲名披露公演のプログラム
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 【佐藤雅昭の芸能楽書き帳】三遊亭王楽改め七代目三遊亭円楽(47)の襲名披露も兼ねた第717回紀伊國屋寄席。3月31日の東京・新宿は雨模様で花冷えする1日だったが、父親の三遊亭好楽(78)、春風亭小朝(70)ら豪華な顔ぶれが満員の観客と熱~く新円楽の門出を祝った。

 柳家小じか(26)が「狸の札」で開口一番を務めて開幕。見た目は「小じか=バンビ」のイメージからは少し遠いが、声が良くて聞きやすい。一層の精進に期待しよう。

 小じかが降りて、先陣を飾ったのが中井貴一に似ていると評判?の春風亭一花(38)で、「馬大家(うまおおや)」という珍しい噺(はなし)を披露した。馬が好きな人じゃないと部屋を貸さない長屋の大家さん。それを知った男が「好きな食べ物はウマ煮」「若い頃は曲馬団にいました」など、大家さんの問いかけに「馬尽くし」で答えるユニークな噺で、調べてみると二代目三遊亭円歌が得意にしていたらしい。

 2013年5月に春風亭一朝(74)に入門し、14年11月に前座となり、18年3月に二ツ目に昇進した一花はゆったりと堂々とした高座ぶり。余裕さえ感じさせた。夫も十一代目金原亭馬生(77)門下の二ツ目、金原亭馬久(40)。こちらも「馬」に縁があった。

 続いた五明楼玉の輔(59)は「お菊の皿」をかけた。風邪引きか?声の使いすぎか?少しノドの調子が悪いと断りながらの高座だったが、ほとんど気にならなかった。玉の輔もいい声をしている。とぼけた味も魅力の噺家だが、端正な芸だ。明るい笑いをもたらして師匠の小朝につないだ。

 その小朝師、「鰍沢」を熱演した。近代落語の祖とも言われる三遊亭円朝の三題噺とされる大ネタ。円朝の「鰍沢」は笑いを随所に盛り込んであり、師を凌ぐとも言われた弟子の四代目橘家圓喬のソレは写実に徹して演じていたようだと、解説を加えながら小朝は中身に入っていった。

 冬の身延山参りに出掛けた江戸の商人。その帰り道に大雪に遭い、鰍沢近くで道に迷ってしまう。偶然にも一軒家を見つけ、一晩の宿を求めると、そこには女が1人居て…。

 「おザイモク(題目)で助かった」というサゲで締める落語家が多いが、小朝は別バージョンのオチを用意してあって、落語の奥深さを感じさせた。笑いを散りばめ、どちらかといえば円朝型の「鰍沢」を堪能した。

 中入りを挟んで、七代目円楽の襲名披露口上。幕が上がると、左から玉の輔、小朝、円楽、そして好楽がズラリ。六代目の円楽と同期だった小朝は、七代目の2人の子供の名付け親になるなど公私にわたって深い付き合いをしてきた。「二世にもいろいろありますが」で、会場をどっと沸かせた後、「(七代目円楽の)芸は確か」とを太鼓判を押した。これには好楽も感無量の様子で、父の顔を垣間見せた。

 三本締めで前途を祝したあと、好楽が「優しい言葉」を披露。友人の六代目桂文枝(81)の軽めの創作落語で膝代わりを務め、息子につないだ。七代目はトリネタに「宗珉の滝」を用意した。腰元掘りの名人・横谷宗珉の弟子で、後に二代目を襲名する宗三郎の若き日の話。古今亭志ん朝師が得意としていた。

 円楽は実に丹念に演じ、耳にも心地良い。大名跡を襲名して今後がますます楽しみだが、小さくまとまりすぎては面白くない。父親・好楽のフラではないが、個性やら毒やらをもっと押し出していい。やがては令和の名人と呼ばれる存在になり、「円生」の七代目を襲名できるくらいになって欲しい。

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