研究心豊か――「少年時代」で見つけた“漫画という言葉の力” 映画監督、篠田正浩さん死去

[ 2025年3月28日 04:00 ]

03年、映画「スパイ・ゾルゲ」の舞台あいさつに臨む篠田正浩さんと岩下志麻
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 【悼む】思い浮かぶのは柔和な笑顔。探究心豊かな学者肌で、とってもダンディーな人だった。

 国内はもとより、海外でも知られた名匠。ドイツが東西に分かれていた1988年、「舞姫」のロケに同行したのも懐かしい。95年には「写楽」がコンペ部門に出品された南仏カンヌ国際映画祭にも飛んで取材した。

 2021年にパーキンソン病を患っていることを公表してから表に出てくることは減ったが、岩下の献身的な介護のかいあり「家の近くを散歩できるほど元気」(関係者)と聞いては安心していた。

 最後に会話を交わしたのは22年4月7日。漫画家の藤子不二雄(A)さんが亡くなり、電話で追悼のコメントを頂いた。芥川賞作家・柏原兵三さんの小説「長い道」を藤子(A)さんが漫画化し、それを篠田監督がそのまま「少年時代」のタイトルで映画化した。

 終戦直後、東京から富山県に疎開した少年と地元の子供たちの友情と葛藤を描いた1編。「藤子(A)さんが自らプロデューサーを務め“監督は篠田さんに頼みたい”と指名してくれたんです。“思っていた世界に到達していた”と受け入れてくれて、漫画という言葉が力を持っていることを発見した作品にもなった」と話してくれた。

 子供たちの別れを描いたラストは映画史に残る名場面。「今でも胸が熱くなります」と告げたら、監督はうれしそうに「ありがとう」とぽつり。その言葉が耳に残っている。(文化社会部特別編集委員・佐藤 雅昭)

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