大河怪演も話題 風間俊介が宣教師フロイスの葛藤体現!長田育恵氏が紡ぐ戦国ドラマの側面も こまつ座新作

[ 2025年3月26日 11:30 ]

こまつ座の新作舞台「フロイス―その死、書き残さず―」の1場面。(左から)釆澤靖起、風間俊介、戸次重幸(撮影:福岡諒祠)
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 2023年度前期のNHK連続テレビ小説「らんまん」などで知られる劇作家の長田育恵氏(47)が、縁のあるこまつ座に書き下ろした完全オリジナルの新作舞台「フロイス―その死、書き残さず―」(演出・栗山民也氏)が東京・紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAで好評上演中。東京公演は今月30日までで、ラストウイークに入った。4月は地方公演が行われる。

 こまつ座は1983年、劇作家の井上ひさし氏が座付作家として立ち上げ、翌年、「頭痛肩こり樋口一葉」で旗揚げ。以降、本公演「父と暮せば」「きらめく星座」「紙屋町さくらホテル」、特別公演「ムサシ」「組曲虐殺」「藪原検校」など、評伝劇を中心に名作を上演。井上氏に関わる舞台を専門に創り続け、今回が第153回公演となる。「木の上の軍隊」は映画化され、今年7月に公開される。

 長田氏は日本劇作家協会の戯曲セミナー研修課で井上氏の個人研修生に採用され、師事。こまつ座に今回、初めて脚本を提供した。

 日本におけるキリスト教布教の命を受けたイエズス会の宣教師ルイス・フロイスは1563年(永禄6年)、長崎に上陸。織田信長とも対面し、布教の許可状をもらうなど宣教活動に努めた。当時の日本を観察し、持ち前の文才を生かした著書「日本史」は、戦国時代を知る重要な史料となっている。

 フロイスは井上氏も題材にしており、83年、NHKラジオドラマ「わが友フロイス」として発表。フロイスによるイエズス会への報告書など、書簡形式で構成された骨太の評伝作品。同じ題材だが、今回は長田氏がオリジナルの完全新作として書き下ろした。

 キャストは6人。こまつ座初出演の風間俊介がフロイス役、ベテラン・久保酎吉がフロイスの同僚フェルナンデス役。昨年度前期のNHK連続テレビ小説「虎に翼」で主人公の愛娘・佐田優未役を好演したことも記憶に新しい若手注目株・川床明日香、文学座の釆澤靖起(うねざわ・やすゆき)、数々の舞台出演を誇る増子倭文江(ますこ・しずえ)、演劇ユニット「TEAM NACS」の戸次重幸は今作オリジナルのキャラクターとなる“市井の人々”を演じる。

 フロイスの最初の上洛後に起きた「永禄の変」(室町幕府代13代将軍・足利義輝の殺害)など「年表を基に」(長田氏)進む今作のストーリーだが、フロイスとオリキャラ4人の関係性や会話はオリジナル。史実の“裏側”を長田氏が創作した。

 長田氏が昨年10月、自身のSNSで「今回の作品は精神的にも書くのが大変だったから初稿を書き上げてから数日経っても、まだ目の下の痙攣(けいれん)が治らない。深呼吸して、心を日常に戻していかなくては…」と打ち明けたほどの渾身作。フロイスの波乱の運命を上演時間2時間35分(休憩15分含む)に凝縮し、井上イズムを受け継ぐ評伝劇の名手ぶりを発揮している。

 人は信仰のために死ねるのか――。重厚なテーマの一つはやや難解さもあるが、フロイスを主人公とした戦国ドラマの側面もあり、興味深い。フロイスの布教活動の成否はいかに。副題「―その死、書き残さず―」は何を意味するのか。

 最小限に抑えたセットの中、名匠・栗山氏の“光と影の演出”(照明)が出色。NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(日曜後8・00)で地本問屋のリーダー的存在・鶴屋喜右衛門役を怪演するなど、進境著しい風間がフロイスの苦悩を見事に体現している。

 ■東京公演初日(3月8日)コメント

 ▼栗山民也 フロイスという16世紀に生きたポルトガル宣教師の物語に(稽古で)ずっと寄り添っていたひと月でした。その初日を前に、随分と遠くにいた人が、私たちと同じように思い悩み、苦しむその姿を見ているうちに、すぐ隣でおしゃべりをしている人のように思えてなりません。人や自然をありのままに見つめ信じることで、人は一人じゃないんだと感じます。誰かのために手を差しのべる小さなことが、実は科学技術の輝かしい発展などよりもずっと大切だということを、あらためてかみ締めています。戦国という冷酷無残な時代を鏡に写し、そこに現代を重ねたら歴史の深みからどんな光景が映し出されてくるのか、とても楽しみな初日です。

 ▼風間俊介 静粛で、厳粛で、荘厳な空気の中、人間の願いや狂気、業が描かれている作品だと思っています。歴史の中に埋もれていった者たちが希望を見いだし、求め、進んでいった光とは。歴史に埋もれていった叫びとは。是非、劇場にお越しいただき、受け止めてもらえたらうれしいです。 お待ちしています。

 ▼川床明日香 無事に初日を迎えることができ、ホッとしています。あっという間に過ぎていった稽古期間は、お芝居と自分に向き合わなければならない深い時間で、心踊る時間でした。キャスト、スタッフの皆さんがいなければ、ここまで来ることはできませんでした。関わってくださったすべての方への感謝を忘れずに、そして舞台でお芝居ができる幸せをかみ締めながら毎公演、臨みます。よろしくお願いします。

 ▼采澤靖起 世にも恐いものランキング。地震・雷・火事・初日。私の親父は本番前に「肩の力を抜いて頑張ってね」とLINEをくれる温厚な人なので、圏外です。初日を迎え、針の穴を通すような稽古の日々が思い出されます。果たして、お客様の反応やいかに。その恐怖と戦いつつ、新鮮な演技に努めれば、必ずや何かが届くと信じて舞台に立ちたいと思います。

 ▼久保酎吉 戦国時代、布教のために海を渡った宣教師と日本人の30年にわたる闘いの記録。現代を生きる我々にも突きつけられる大命題がここにある。人間とは何か。神は本当にいるのか。6人それぞれの闘いぶりを、是非、確かめに来てください。

 ▼増子倭文江 あっという間に初日です。いつもそうなのですが、この日が始まりでもあります。まだまだ育っていきます。もっともっと豊かになっていきます。フロイスの台詞「神よ、あなたはそこにいますか?」に向かって、毎日、生き抜いていきます。よろしくお願いします。

 ▼戸次重幸 稽古を重ねるほど、あまりに表現することが多いことに戸惑うこの作品。自分のスキルと台詞1行ごとに向き合ってる感覚は、久しくなかったです。役者として、いい意味で苦労してます。その成果を必ず劇場でお見せいたします。「人間は、愚かな存在」。愚かだからこそ、あがく…。今も昔も変わりません。この作品が、皆さまが生きることへの、何かしらの刺激になることを祈って。

 ◆こまつ座第153回公演「フロイス―その死、書き残さず―」地方公演日程
 <兵庫公演>4月5日(土)兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
 <岩手公演>4月12日(土)奥州市文化会館Zホール大ホール
 <高崎公演>4月16日(水)高崎芸術劇場スタジオシアター
 <宮城公演>4月18日(金)仙台銀行ホール イズミティ21大ホール
 <大阪公演>4月25日(金)~26日(土)梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

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