「御上先生」元教師志望のプロデューサーが現在の日本の教育に感じること「偏差値が…」

[ 2025年3月8日 12:00 ]

「御上先生」で松坂桃李演じる御上孝は生徒に考えることを促していく
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 TBS日曜劇場「御上先生」(日曜後9・00)は、東大から文科省に入った官僚の御上孝(松坂桃李)が主人公の物語だ。出向で私立高3年の担任教師になったことを機に生徒を導きながら教育現場を改革させていく、これまでにない新たな学園ドラマとして大きな注目を集めている。

 プロデューサーの飯田和孝氏は、かつて教師を目指し早大教育学部に進学。中高の英語の教員免許を取得した経歴もある。そんな飯田氏に、現在の日本の教育に感じることを聞いてみた。

 多様化が進んで勉強が全てじゃないという価値観が浸透しているようにも思える昨今。だが「偏差値の概念が薄れていくのかなと思いきや、むしろ高い偏差値の環境に身を置く有益性が顕著になるようになったのでは」と切り出した。首都圏在住であることを念頭に置きつつも、周囲の受験熱の高まりからそのように感じるようだ。

 最近も埼玉県にある母校の公立中学校にメッセージを送り、その感想をもらう機会があった。全校生徒の半分以上が高校受験に対する心配をつづっていたといい、「これほどまでに高校受験が支配してるのかと感じました。自分が中学生の時は、皆そこまで受験に縛られてなかった気がするんですよね」と時代の変化を口にした。

 偏差値を重んじる風潮は「どうしても現在の日本社会は、その先の就職や収入に繋がってるという見方が強くて、子供が将来不自由なく暮らせることを親が望むが故でもあると思います」と分析。「不景気になり、経済格差なんてことも囁かれる中で、それがすごく顕著になってきてるのかもしれません」と話し、この偏差値重視の傾向については「一概に良い、悪いは言えないのかもしれない」と受け止めている。

 良い面については、2021年4月期の日曜劇場「ドラゴン桜」を手がけた経験をもとに述べた。「東大、つまり偏差値の高い学校へ行く意味は、高いモチベーションで同じ目的を共有する仲間がたくさんいる。その環境に身を置くことによって、周囲から自身に跳ね返ってくるものが大きかったりする。それが真髄と思っています」。

 一方の悪い面については、「良い大学に入ってただ自動的に何かいい将来が待っていると思ってしまうと、その本質を見極められなくなるかもしれない」と警鐘を鳴らした。「偏差値がゴール地点になることは、入った後の目的を見失ってしまう人を多数生んでしまう恐れがあることは悪い面にもなる」と話した。

 では、どこに主眼を置くべきなのか。飯田氏が持ち出したのは、偏差値に関係なく学生が「何を学びたいか」に重きを置く大切さだ。「学生が主体的に選択して学ぶことは、欧米では普通のこと。そうすることで学生に対して偏差値でのカテゴリー分けもないし、自分のやりがいが見つかって、その後も実りのある人生になるのではと感じています」と言葉に力を込めた。

 「御上先生」ではまさに学びにフォーカスを当てている。御上は生徒たちに「どうしたい?どう思う?」と投げかけて、考えることを促していく。進学校が舞台であるが、いわゆる受験競争は映し出さない。「受験は『ドラゴン桜』が完璧にやってくれているので(笑い)」と冗談交じりに話しつつ、人間としての学びを描いていく。

 「人生は学生じゃない時間の方が長い。その中で大事にしておいて欲しいことを御上先生は多分問いかけている」と世界観を表現。「視聴者にも学生じゃない人の方が多い」とし、全世代へのメッセージ性も込めている。

 物語が終盤に差しかかるにつれて、生徒たちがより自発的に考えて行動を起こす場面が増えていく。「社会人の方が見ても、“学生の時こうやっておけば良かった”では終わらずに、“こういう考え方ってすごく役立つよね”というものが凄くちりばめられていると思います」とアピールした。

 「考えることをしないと、国内外のさまざまなニュースを見ても、ただ“そうなんだ”と受け取ってしまうことが多いと思うんです。そうなると、究極、脳みそがくっついてる意味がないことになってしまうとも思うんです。これは自分への戒めでもあります。このドラマを見ることで、さまざまなことに少しでも“考えてみよう”と思うきっかけになったらうれしいです」と作品に込めた思いを語った。

○…主人公は教師でありながら、ベースは官僚だ。飯田氏は「官僚ってかっこいいよねって思えるドラマにしたい」とも話す。官僚については脚本家の詩森ろばさんが入念な取材を行っており「皆さん一生懸命頑張ってると改めて感じます」と述べた。「一部を切り取られて悪者にされがち」と苦労を代弁しつつ「この国の礎を築くすてきな仕事ということをしっかりと伝えたいと思っています」と語った。

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