小林九段 弟弟子・杉本八段が「師匠として全然かなわない」 棋士8人輩出し一昨年引退

[ 2024年4月29日 21:09 ]

小林一門感謝の会に出席した(左から)岩根忍女流三段、木村朱里女流初段、森本才跳四段、小林健二九段、池永天志六段、徳田拳士四段、井田明宏四段、冨田誠也五段、古森裕太五段

 将棋の小林健二九段(67)が29日、大阪市内で「一門感謝の会」を4年ぶりに開き、棋士と女流棋士の弟子8人、同世代で腕を競った谷川浩司17世名人(62)、小林の弟弟子で藤井聡太王将(21)=8冠=の師匠・杉本昌隆八段(55)、親交の深い競馬の矢作芳人調教師(63)らが出席した。小林は本社主催・王将戦挑戦者決定リーグに4期在籍しただけでなく、新人王戦や加古川青流戦の優勝経験がある池永天志六段(31)ら後進の育成にも取り組んだ。

 コロナ禍が始まった20年春以降、22年3月の自身の現役引退だけでなく冨田誠也五段(28)、井田明宏四段(27)、徳田拳士四段(26)、森本才跳四段(22)がプロ入りしたがお祝いの場を持てなかったことで実施した。「2年前に引退したが、弟子にはまだまだ伝えていきたいことがある」とさらなる育成への意欲を語った。

 1988年に亡くなった小林の師匠・板谷進九段は名古屋を拠点に一人棋士活動し、杉本、そして藤井へと続く将棋の火を中京圏に灯し続けた。

 「板谷先生の悲願は“名古屋にタイトルを”だった。藤井8冠は十分すぎるほどそれを達成したが、小林九段にとっては自分の弟子にタイトルをというのがあるのではないか」。谷川はその弟子から、棋界の全8冠を独占する藤井への挑戦者が現れることを願って激励した。

 藤井、齊藤裕也四段(26)を育てた杉本は「師匠として全然かなわずうらやましくて仕方ない」と兄弟子への敬意をあいさつで示した。兄弟子が送ってくるLINE(ライン)には、弟子と一緒の写真が多く添えられるという。「自分の時間を割いて時間をつくっているからこそ。一緒に食事をしている写真も多く、“どんどん食ってどんどん(将棋を)指せ”が口癖だった板谷先生の教えを受け継いでいる。小林一門を見習って、多くで弟子を育てたい」と新たな発奮材料を得ていた。

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