寂しげな石原都知事 談志さんと返事なき最後の会話…

[ 2011年11月26日 06:00 ]

記者会見で立川談志さんとの思い出を語る東京都の石原知事

 喉頭がんのため21日に75歳で亡くなった落語家の立川談志さんについて親交のあった東京都の石原慎太郎知事(79)が25日、定例会見で「憎まれ口を叩き合う、実に不思議な友人。あいつと話してると元気が出た」としのび、談志さんのために新作落語の執筆を予定していたことを明かした。一方、談志さんのお別れの会は12月下旬の開催で関係者が調整に入った。

 淡々とした口調ながら、やはり時折寂しげな表情がのぞいた。石原知事は「亡くなる数日前に(電話で)話した。僕が一方的にしゃべって、(談志さんの)秘書に受話器を耳元に持って行ってもらって“おい、談志。おまえもそろそろくたばんだろ、ざまあみろ”って言ったら、言い返そうとして“ハッ、ハッ”っていうあえぐ声が聞こえてきた。無類の話術家と最後に交わした会話。僕の人生の中で極めて印象に残る、会話にならざる会話だった」と振り返った。

 息を引き取る3週間ほど前から意識がなかったという談志さんだが、愛のこもった慎太郎節に無意識のうちに反応したのかもしれない。

 親交は40年以上に及んだ。68年の参院選で石原知事が初当選すれば、3年後に談志さんが同じ自民党所属の参院議員として政界入り。72年に知事は衆院に鞍替えし、談志さんも1期で政界を退いたが、その後も長く友人関係は続いた。

 「声が出る頃“死神”(落語の演目)やれよ。その声でやると凄い迫力あるぞって言ったら“よしっ”って言っていた。彼に新しい落語を書こうと思っていた。イタリアの芝居で自分がエンリコ4世という王様と勘違いしている男の話で、誰に置き換えようか考えているうちにあいつ死んじゃった」と知事は秘話も明かした。「残念です。人間いつか死ぬ。しようがないや。でも言いたいこと言って死んだんだからいいだろう」としみじみ話した。

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2011年11月26日のニュース