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田中恒成の“ゼロからの再起”3年2カ月の裏側 あの井岡戦後からコンビ組む村田トレーナーが証言

[ 2024年2月24日 19:46 ]

プロボクシング「Prime Video Presents Live Boxing7」 ( 2024年2月24日    東京・両国国技館 )

スティックミットを持つ村田大輔トレーナー(左)を相手に軽快に動く田中恒成
Photo By スポニチ

 ボクシング興行「Prime Video Presents Live Boxing7」が24日、東京・両国国技館で行われ、WBO世界スーパーフライ級王座決定戦は同級1位の田中恒成(28=畑中)が同級2位クリスチャン・バカセグア(26=メキシコ)を判定3―0で下し、日本男子3人目の世界4階級制覇を達成した。

 田中が再起し、4階級制覇する過程を最も近くで見届けたのが村田大輔トレーナー(45)だ。「井岡戦で明確になった最も重要な課題はディフェンス面」。幼いころに空手を始め、格闘センスもあっただけに「恒成はボクシングを始めた時に、いろいろ教えてもらわなくても、ある程度できちゃったんだと思う」。ガードする際に両手や顔の位置、顎の引き方など初心者向け、基本中の基本からおさらい。田中は「そんなこと初めて言われた」と目から、うろこが落ちた。

 フェイント、機先を制するジャブ、間合いの取り方など相手攻撃の芽をつみ、さらに攻撃へつなげる、さまざまな手だてを伝えた。その過程で「新しい風を入れるため」(村田トレーナー)に井岡一翔とコンビを組むイスマエル・サラス氏にも師事。将来、井岡と再戦した場合に不利な要素となりかねないが、田中は「自分が強くなるため」と新スタイル構築を最優先した。

 村田トレーナーは愛知・蒲郡高でアマ戦績「4勝4敗か…5敗」の無名選手だった。畑中会長から「メシ食えんぞ。やめとけ」と2度も断られながら熱意で現職に就き、指導歴は25年に及ぶ。初めて畑中ジムを訪れた小学生のころの田中を知る。「ずっと、そばで見てきたけど、この3年間の成長は大きい」。土台からつくり直した“シン・田中恒成”の強さを証明する闘いは4階級制覇した今から本格化する。

 田中も村田トレーナーに感謝する。「(父とコンビ解消し、新たなトレーナーを決める際に)当初の自分が考えていたのは、自分が知らないことや新しいこと、ボクシング技術をいろいろ教えてくれるトレーナーではなかった。近くにいてほしかったのは、一緒に成長していけるようなトレーナーだった。最初はそう思っていたけど。結果的に村田トレーナーはいっぱい、いろんなものを教えてくれた。しかも一緒に成長するという部分もできている」。ざっくり、まとめれば“100点満点”だろう。独身で24時間を、田中恒成を強くするために使える村田トレーナーはじめ「チーム恒成」が4階級制覇への到達を支えた。

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