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井上拓真がうれし泣き初防衛!「変わったところを見せたかった」 元王者をKOで下し兄・尚弥も祝福

[ 2024年2月24日 21:41 ]

WBA世界バンタム級タイトルマッチ   王者 井上拓真《12回戦》同級9位 ジェルウィン・アンカハス ( 2024年2月24日    東京・両国国技館 )

<トリプル世界戦 井上拓・アンカハス>9回、アンカハスにKO勝ちし喜ぶ井上拓(撮影・沢田 明徳)
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 WBA世界バンタム級王者・井上拓真(28=大橋)が同級9位ジェルウィン・アンカハス(32=フィリピン)を9回44秒、KOで下し初防衛に成功。元IBF世界スーパーフライ級王者時代に9度の防衛に成功した難敵を下し、世界戦初のメインイベンターとしての役割を全うした。

 サウスポーの相手が入ってきたところに右を合わせる展開。第2ラウンド、第3ラウンドと拓真がカウンターを当てると、アンカハスは第4ラウンドで距離を詰め、拓真も接近戦での打ち合いに応じた。中盤以降もラウンドごとに距離をとったり、接近戦に出る相手に対し、的確にパンチを当てていった。そして9回だった。井上が右のボディーで、後退させ、2発目のボディーが入ったところでアンカハスは膝をついた。

 勝利の瞬間、リングを叩いて喜び、兄・尚弥と抱き合って喜びを爆発させた。

 19年のWBC世界バンタム級王座統一戦での敗戦が拓真を変えた。当時の正規王者ノルディーヌ・ウバーリ(フランス)との王座統一戦に敗れ、暫定王座を失った。この一戦までは昨年12月に史上2人目の2階級4団体王座統一を成し遂げたスーパーバンタム級4団体統一王者の兄・尚弥(30)の背中を追いかけるように同じ練習をこなしてきた。「ただナオ(尚弥)にくっついて、やっていることのマネをすればいいと思っていた」と話す拓真だったが、敗戦以降は自分を見つめ直し何が足りず、何を強化すればいいかを自己分析した。

 26戦全勝23KOの尚弥と比べ、拓真は18戦17勝4KOとKO数ではやや物足りなさを感じる。「倒せる兄との差にモヤモヤすることもあった」と苦笑するが「そこをいくらまねしようとしても兄のように倒すことは難しい。自分にできることを研究して自分のものをつくり上げたい」。持ち味である鉄壁のディフェンス技術を磨きながら、今回は新たに攻撃的スタイルを取り入れて元王者に挑んだ。

 この勝利で5月6日に東京ドームで行われることが濃厚な、兄・尚弥がWBC世界スーパーバンタム級1位ルイス・ネリ(メキシコ)との防衛戦を行う興行で兄弟同時世界戦実現の可能性も出てきた。「可能であれば大舞台なのでやりたい気持ちもある」。兄との共演を熱望する拓真が、自らの存在をアピールする白星を挙げた。

 ◇井上 拓真(いのうえ・たくま)1995年(平7)12月26日生まれ、神奈川県座間市出身の28歳。綾瀬西高1年時に高校総体ピン級優勝などアマ通算57戦52勝5敗。13年12月プロデビュー。15年7月、東洋太平洋スーパーフライ級王者(防衛2)。18年12月、13戦目でWBC世界バンタム級暫定王座獲得。19年11月、WBC同級正規王者ウバーリ(フランス)に判定負けで陥落。23年WBA世界バンタム級王座決定戦でリボリオ・ソリス(ベネズエラ)に判定勝ちで王座返り咲き。身長1メートル64、リーチ1メートル63の右ボクサーファイター。

 ▼井上拓真 やる前から過去イチの強敵だと思ってましたし、自分自身、試合当日まで不安がいっぱいで、勝てるか負けるか分からない極限の状態で練習をしてきました。やっぱりここまで判定続きだったり、いい見せ場を見せられず、お客さんもたぶん退屈してしまっていたところもありますし、自分も変わったところを見せたいと思ってここまで頑張ってこられて、こういう結果で終われて最高です。(KOは)こんだけの強豪相手に接近戦で打ち勝てたというのは今後の自信にもなりましたし、これから変わった井上拓真を見せて生きたいと思います。(父や兄のサポートには)最高の結果に終われて、本当にありがとうといいたいです。(今後は)日本でバンタム級が盛り上がってますけど、そこの頂点は井上拓真ありというのを見せていきたい。

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