浜田剛史氏　スピードもパワーも強化　井上が4団体統一戦有利

世界バンタム級4団体王座統一戦   WBAスーパー＆WBC＆IBF王者・井上尚弥　12回戦　WBO王者ポール・バトラー （ 2022年12月13日    有明アリーナ ）

井上尚弥（左）とバトラー
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　【浜田剛史の目】バトラーはお手本どおりの戦い方をする選手だが、相手からすれば動きが全て読める。意外性のないボクシングでは、全ての項目で勝る井上を崩すのは難しい。防御重視の打っては離れるボクシングをしても、井上のプレッシャーにどこまで持ちこたえられるか。井上は強引に一発を狙わずに、ジワジワと追い詰めて倒せばいい。

　ライトフライ級では実力を全て出せていない印象だった井上は、スーパーフライ級へ上げてから本来の力が出るようになった。階級を上げると、よりパワーがある相手と対戦するが、無理に体重を落としていた井上の場合、動きやすくなってむしろパワーは相手を上回り、スピードも増している。階級を上げても踏み込むスピードが落ちなかったマニー・パッキャオを思わせる。

　バンタム級に上げてからは自信が目立つ。ノニト・ドネアとの初戦は体が動くままに戦っていたが、再戦は相手が左の一発を狙っていると瞬時に判断し、空振りさせてから打つなど戦い方の幅が広がった。常に余力を残して戦い、相手を弱らせてから倒したマービン・ハグラー（元世界ミドル級王者）のような強さが、今の井上にはある。（元WBC世界スーパーライト級王者）