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猪木さんの“燃える闘魂”感じ続けた19分39秒

[ 2022年10月2日 04:18 ]

アントニオ猪木さん死去

今年7月、本紙インタビューでムハマド・アリ戦の写真を見ながら思い出を語るアントニオ猪木さん(撮影・尾崎 有希)
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 【インタビュー取材後記】最初は体調を考えて5分間の予定だったインタビューは、音源を聞き直すと19分39秒にもわたっていた。7月21日、都内のホテルの一室を訪ねると、車椅子に猪木さんは座っていた。現役時代と違って細く小さく見えたが、その目は燃える闘魂のままだ。時には笑みを浮かべながら、時間を気にせず語ってくれた。

 取材場所にはアリやホーガン、タイガー・ジェット・シンらとの名勝負の写真を10枚持ち込んだ。猪木さんが一番興味を持ったのは師匠である力道山との1枚だ。そこにはグラウンドで力道山にハンマーロックを仕掛けられる弱冠20歳の若武者の姿があった。その時だけは物思いにふけっていた。この道場で闘魂を受け継いだ猪木さんは、その後“非常識力”で世界を巻き込んでいくことになる。

 これが最後の時間になると思わず、体調が回復したら連載を申し込むつもりでいた。実は記者になることを目指したのは猪木さんを取材するためだった。高校時代、藤原喜明戦も、ブロディ戦も、アンドレ戦も生観戦した。19分39秒1本勝負ではなく、もう一度、立ち上がる“燃える闘魂”をどうしても見たかった。(文化社会部長 森俊幸)

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2022年10月2日のニュース