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井岡ドーピング疑惑 本来の手順を踏まなかったJBCに混乱の一因

[ 2021年4月28日 05:30 ]

昨年大みそかのWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチで2度目の防衛に成功した井岡一翔
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 【記者の目】昨年大みそかのV2戦から4カ月も経過してドーピング疑惑を伝えられている井岡だが、実はJBCは、井岡の検体から禁止薬物が検出されたことを正式には発表していない。関係者の話として伝えられていることが事実だとすれば、JBCが本来の手順を踏まなかったことが、混乱を招いたと言える。

 通常、ドーピング検査では検体をA、Bの容器に分けて採取される。JBCは井岡のA検体から大麻成分が検出されたため、警視庁に相談し、B検体を提出したという。アマチュアを統括する日本ボクシング連盟アンチ・ドーピング委員で、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)が認定するスポーツファーマシストの資格を持つ倉重友和氏は「JADAのルールにのっとれば、A検体が陽性だとしても確定ではない。B検体の結果が分からない段階で捜査機関に報告することはない」と話す。JBCはJADA非加盟だが、「手続き的には違う」と指摘した。

 井岡側が陽性反応を示した理由の可能性として挙げたCBD(カンナビジオール)オイルについて、倉重氏は「CBDは違法でも禁止薬物でもない。ただ、オイルを抽出する段階で、もう一つの大麻成分で違法であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)が混入する可能性はある」と説明した。A検体が陽性なら本人に結果が通達され、弁明の機会も与えられるはずだが、JBCが警察にB検体を提出したことで違反の有無の再分析もできなくなった。(ボクシング担当・大内 辰祐)

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2021年4月28日のニュース