×

拳四朗 涙のV8!不祥事発覚で延期“みそぎの一戦”大差判定勝ち、さあ4団体統一で恩返し

[ 2021年4月25日 05:30 ]

WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦   ○王者・寺地拳四朗 判定 同級1位・久田哲也●  ( 2021年4月24日    エディオンアリーナ大阪 )

11R、久田哲也(左)にパンチを浴びせる寺地拳四朗(撮影・後藤 大輝)
Photo By スポニチ

 王者・寺地拳四朗が“みそぎの一戦”で同級1位の久田哲也を3―0の判定で退け、8度目の防衛に成功した。3連続KO勝利は逃したが、2回にダウンを奪うなど9~11ポイント差をつける圧勝だった。昨年11月の不祥事発覚で延期となっていた一戦に勝利した寺地は、謝罪と感謝の言葉を口にして涙。防衛記録更新や統一戦に突き進むことを約束した。また、父でBMBジム会長の永(ひさし)氏(57)がスポニチ本紙に独占手記を寄せた。

 心の奥に閉じ込めていた感情があふれ出した。完勝にも拳四朗スマイルは封印。涙ながらに言葉を紡いだ。

 「たくさんの方にご迷惑、ご心配を掛けて、どうしたらいいんだろうと不安の中にいました。勝てて本当にうれしい。こんな僕を応援してくれて、ありがとうございます」

 昨年11月、泥酔による不祥事が発覚し、12月に計画されていた久田戦が延期。ライセンス停止3カ月などの処分を受けた。京都の実家で約2カ月間、自主的に謹慎。児童の登校見守りなど社会奉仕活動も始めた。その中で気づいたのは、活動に協力してくれる後援者や、東京の拠点・三迫ジムに戻った時に温かく迎えてくれた仲間たちの存在だった。

 絶対に勝たなくてはいけない。強い思いからか立ち上がりは硬さもあったが、2回にジャブの相打ちから右ストレートを顔面に叩き込んでダウンを奪うと、最後まで主導権を譲らない圧勝劇。重圧から解放されると、感情は抑えられなかった。

 「負けたら人生終わり。その覚悟はあった。でも、試合が終わって泣くとか思っていなかった。それだけボクシングが大好きになっていたのかな」

 競技から一時離れたことで、取り組む姿勢も変化した。ファスティング(断食)によるコンディション調整から再出発。普段の食材もオーガニックにこだわるなど、体調管理にも気を使うようになった。

 「ボクシングを続けられる僕は本当に幸せ。これからも勝ち続けることで少しでも恩返ししていきたい」

 目指すは具志堅用高の持つ13連続防衛の日本記録更新だが、統一戦にも意欲を示した。「やりたい相手は全員です。(4団体のベルトを)全部獲る予定なので」。強気に話した時、ようやく笑顔が戻った。

 【拳四朗の騒動後経過】
 ☆20年11月26日 一部週刊誌が7月に泥酔して帰宅途中にマンションの敷地内に侵入し、駐車中の車を傷つけたと報じる。
 ☆12月2日 JBC事務局を訪問し、謝罪と事情説明。プロモーターの真正ジムは、19日にエディオンアリーナ大阪で開催予定だったV8戦の中止を正式発表。
 ☆同15日 JBCが12月1日から3カ月のライセンス停止、制裁金300万円および6カ月以内に48時間以上200時間以内の社会貢献活動を義務付ける処分を科したと発表。
 ☆21年2月28日 処分解除。
 ☆3月8日 防衛戦を4月24日にエディオンアリーナ大阪で行うことを発表。

続きを表示

この記事のフォト

2021年4月25日のニュース