井岡　恒成に完勝V2!“史上最高”の日本人対決制し雄叫び　21年は3団体統一戦「やりたい」

WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦   〇王者・井岡一翔　TKO8回1分35秒　同級1位・田中恒成● （ 2020年12月31日    東京・大田区総合体育館 ）

＜WBOスーパーフライ級井岡一翔×田中恒成＞防衛に成功し雄叫びを上げる井岡（撮影・島崎忠彦）
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　コロナ禍に揺れた2020年の大みそかを井岡一翔が会心の勝利で締めくくった。8回TKO勝ちで2度目の防衛。田中恒成の世界最速16戦目での4階級制覇、そして世代交代を阻止。最強挑戦者を退け、目標とする海外での統一戦、ビッグマッチ実現へ前進した。

　王者の誇り、男の意地を見せつけた。序盤からハイレベルな拳の交換を繰り広げながら、井岡は確実に田中との実力の差を証明していった。2回に右を浴びて左目が見えにくくなるアクシデントも、5回と6回に左フックでダウンを奪うと、8回も左フックが顔面にヒット。大きくふらついた挑戦者の姿を見たレフェリーは即座に試合を止めた。

　試合前から「格の違いを見せる」と4階級王者のプライドを見せたが「有言実行できた。僕の方が経験、年を重ねた分、拳の重みが違う」と語った。

　複数階級で世界を制した両者による「史上最高の日本人対決」と銘打たれた決戦は、誰もが接戦を予想した。その試合で圧巻のKO劇。自分こそが唯一無二の存在と示した井岡は「僕にとってはサプライズではない。男として口だけで終わるわけにはいかないので、結果で証明できて良かった」と胸を張った。

　同じアマエリート。7学年上の井岡が歩んだ道をなぞるように最速記録を塗り替えて、追い掛けてきたのが田中だ。他の王者に挑戦しての4階級制覇ならともかく、直接対決で快挙を達成させるわけにはいかなかった。

　コロナ禍の影響もあり、1年ぶりのリング。ピラティスも練習に取り入れ、単に筋肉を増やすのではなく感覚を呼び覚まし、動きにつなげることを意識。さらなる高みを求めた。一度は目標を見失って引退した井岡だが、今は夫人とトランクスにその名を刻む長男・磨永翔（まなと）くんの存在が心の支え。「家族のために」の思いが原動力だった。

　海外に目を向けるとWBC王者エストラーダ（メキシコ）とWBAスーパー王者ローマン・ゴンサレス（ニカラグア）が3月に対戦予定。井岡は「その勝者と統一戦をやりたいですね」と改めて希望した。最強といえる挑戦者を下した今、もう国内に敵はいない。

　◆井岡　一翔（いおか・かずと）1989年（平元）3月24日生まれ、堺市出身の31歳。大阪・興国高では6冠を達成。09年4月にプロデビュー。11年2月にWBC世界ミニマム級王座を獲得し、平成生まれで初の世界王者に。12年12月にWBA世界ライトフライ級王座、15年4月にWBA世界フライ級王座を獲得。17年末に引退を発表したが、翌年に現役復帰し、19年6月にはWBO世界スーパーフライ級王座を獲得して日本人男子初の4階級制覇を達成した。身長1メートル64.8。右ボクサーファイター。