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浜田剛史氏 相手の力も利用した“大人”の井岡、田中との打たれ方に違い出た

[ 2021年1月1日 05:30 ]

WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦   〇王者・井岡一翔 TKO8回1分35秒 同級1位・田中恒成● ( 2020年12月31日    東京・大田区総合体育館 )

<WBOスーパーフライ級井岡一翔×田中恒成>5R、左フックで田中(右)からダウンを奪う井岡(撮影・島崎忠彦)
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 【浜田剛史の目】田中の試合の入り方は良かったと思う。井岡もいいパンチをもらっていた。ただ、このままでは流れを持っていかれると判断し、ブロックしつつも左のフックを打ち返していたのがよかった。打つことによってタイミングが少しずつ合い始め、田中が強引に打って出たところでカウンターでダウンを奪った。

 試合前に予想した通り、両者の打たれ方の違いが出た。田中は攻撃も真っ正直だが、打たれる時も顔がまともに見えていた。一方の井岡は打たれる時には顎をしっかり引いているし、極端にいえば打つ時も相手の顔をまともには見ていない。ボディーから顔面へパンチを返す時も顔の位置を感覚でつかんで打っている。そして、打たれたら打ち返さなくてはとムキになり、さらにカウンターをもらった田中に対し、今は打ち返すべきかの判断もしっかりしていた。世界戦は12回までのトータルで勝つと計算しながら闘っていた。

 田中はスピードもパンチもあり、井岡にとっても楽な試合ではなかった。だが、キャリアと我慢強さという点では一枚上だった。自分の強さを前面に押し出し闘う田中に比べ、相手の力も利用する井岡が大人に見えた。(元WBC世界スーパーライト級王者)

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2021年1月1日のニュース