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“激闘王”元3階級制覇王者・八重樫が引退表明

[ 2020年9月1日 14:55 ]

八重樫東
Photo By スポニチ

 プロボクシングの元世界3階級制覇王者・八重樫東(37=大橋)が1日、横浜市内の大橋ジムからオンラインで記者会見を開き、現役引退を表明した。「引退することを決めました。ボクシングには、感謝してもしきれない思いでいっぱい」と話した。プロ通算35戦28勝(16KO)7敗。

 昨年12月23日、横浜アリーナで行われたIBF世界フライ級タイトルマッチで王者モルティ・ムザラネ(南アフリカ)に9回TKO負けしたのが最後の試合となった。中盤から得意の打ち合いに持ち込んだが、距離の長いワンツーと左ボディーを効かされ、打たれっぱなしとなってレフェリーストップ。「進退も考えなきゃいけない実感もある」と話していた。大橋ジムの大橋秀行会長から「もういいのではないか」と引退を勧められ、「体力の限界を感じたわけではないが、受け入れた」と明かした。

 WBA(世界ボクシング協会)でミニマム級、WBC(世界ボクシング評議会)でフライ級、IBF(国際ボクシング連盟)でライトフライ級と主要3団体で3階級制覇を達成。王座決定戦ではなく、いずれも王者を撃破してベルトを奪った。本来はスピードとテクニックが持ち味ながら、試合後に顔が別人のようにはれ上がるほど打ち合いを演じ、「激闘王」と呼ばれた。ミニマム級時代に当時のWBC王者・井岡一翔(当時井岡)との統一戦に臨んだり、フライ級時代には軽量級で無敵の強さを誇ったローマン・ゴンサレス(ニカラグア、帝拳)の挑戦を受けるなど、敗戦のリスクも恐れずに戦い抜いた。

 今後は大橋ジムでトレーナー、テレビ解説者やタレントを務めるほか、パーソナルトレーナー業もスタート。“激闘王”というニックネームについては「大好きです。激闘王という言葉はこれからも宝物になっていく」と語り、1男2女の父として「ロマゴン戦は“子どもたちのためにも生きて帰る”と。あのような試合ができたのは子どもたちの力」と涙ぐんだ。

 ◆八重樫 東(やえがし・あきら) 1983年(昭58)2月25日生まれ、岩手県北上市出身の37歳。黒沢尻工で00年のインターハイ・モスキート級、拓大で02年の国体ライトフライ級優勝などアマ通算70戦56勝(15KO・RSC)14敗。大橋ジムに入門し、05年3月に1回KO勝ちでプロデビュー。06年4月、当時国内最速タイとなるプロ5戦目で東洋太平洋ミニマム級王座を獲得(防衛1)。世界初挑戦に失敗後の09年6月、日本同級王座獲得(防衛3)。11年10月、ポンサワン(タイ)に10回TKO勝ちし、2度目の世界挑戦でWBA世界ミニマム級王座獲得(防衛0)。13年4月、五十嵐俊幸(帝拳)に3―0判定勝ちしてWBC世界フライ級王座を獲得(防衛3)し、2階級制覇。15年12月、ハビエル・メンドサ(メキシコ)に3―0判定勝ちしてIBF世界ライトフライ級王座を獲得(防衛2)し、3階級制覇。

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2020年9月1日のニュース