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四国初の全日本新人王目指し福永宇宙が初戦突破 西日本新人王トーナメント・スーパーバンタム級

[ 2020年8月12日 17:55 ]

西日本新人王戦のスーパーバンタム級で初戦突破した福永宇宙(左)
Photo By スポニチ

 プロボクシングの無観客興行が12日、大阪府豊中市のローズ文化ホールであり、計10試合が行われた。西日本新人王トーナメントのスーパーバンタム級(リミット55・3キロ)4回戦で福永宇宙(そら、22=黒潮)は4回2分33秒、TKOで末継海里(本橋)を下し初戦突破した。

 初回から左右のボディーを軸に主導権を握り、最終4回はひたすらボディーを連打。相手セコンドからの棄権を呼び込んだ。「ちょっと力み過ぎました。序盤で“イケる”と思って全部のパンチを思い切り打ってしまった。もっとコンパクトに打たないと」。高知市生まれの“いごっそう”は快勝にも、いたって謙虚。今後の目標についても大言壮語しない。

 「今の段階では世界チャンピオンが目標なんて口が裂けても言えません。全日本新人王を獲るのが目標。それがちょっとでも見えてきた。必死で食らいついていきたい」

 昨年10月の4戦目で初めてKO勝利をマークし、デビューから無傷の4連勝。6回戦に出場できるB級ライセンス取得条件を満たした。だが新人王戦に出場するためC級ライセンスにとどまった。

 西日本協会に加盟している四国のプロボクシングジムは現在3つだけ。高知市の黒潮、徳島県阿波市の川田、愛媛県松山市のフォーラムスポーツ。これまで全日本新人王を輩出したジムはない。

 「四国で初めて、というのがこだわり。高知で競技を続けているから、みんなが応援してくれる」

 競技人口が少ない地方ジムの悩みは、最も重要な練習であるスパーリング相手がいないこと。福永によると、黒潮所属のプロ選手は自身だけ。主な練習相手だったライトウエルター級(64キロ)のアマ選手は今春に大阪の大学に進学し、普段は小川竜司会長に相手を務めてもらう。試合が決まれば、約1週間の日程で大阪の各ジムを巡るか、週末に愛媛へ出向き、集中的にスパーリングをこなしていた。コロナ禍で出稽古が難しかった時期は「会長との二人三脚」に加え、OBと2~3ラウンドのマスボクシングなどを続けた。そんな環境でも周囲の応援を励みに、真面目に取り組む。無駄のない筋肉質の体つきがその様子をうかがわせる。「よくウエートトレーニングをやってるの?と聞かれますが、サンドバッグを叩いて、この体をつくってます」と断言する。

 好きなボクサーにはWBA&IBF世界バンタム級統一王者の“モンスター”井上尚弥(大橋)、元WBO世界フライ級王者の木村翔(花形)、“カネロ”こと4階級制覇王者サウル・アルバレス(メキシコ)を挙げる。理由は「3人とも、いく時には思い切りいって一発で倒せるパンチがある」。理想を追い求め、精進を続ける。

 ◇福永 宇宙(ふくなが・そら)1997年11月4日生まれ、高知市出身の22歳。中学では野球、高校では2年まで柔道。20歳からボクシングを始める。18年10月デビュー。戦績は5勝2KO。身長1メートル68・5の右ボクサーファイター。

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2020年8月12日のニュース