【浜田剛史の目】尚弥、圧勝の数試合分に値する接戦

[ 2019年11月8日 06:40 ]

WBSSバンタム級トーナメント決勝   ○(WBA&IBF王者)井上尚弥《判定3―0》(WBAスーパー王者)ノニト・ドネア● ( 2019年11月7日    さいたまスーパーアリーナ )

第11R、ダウンを奪う井上尚弥(撮影・小海途 良幹)
Photo By スポニチ

 技術面、精神面に駆け引き。両者が12ラウンド、全力を出し尽くした素晴らしいファイトだった。その中で光ったのはドネアの経験だ。2回に右目上から出血して焦りがあり、これほど打たれたのは初めての井上に対し、倒された経験など修羅場をくぐってきたドネアは、パンチを効かされても平気な顔で次のラウンドを戦っていた。

 ドネアが左・右・左のトリプルで3発目を得意のフックではなくジャブで来たのは、井上には想定外だったのではないか。しかもジャブがストレート並みに威力があり、大振りが象徴するように、井上はリズムを崩された部分はある。それでも、全体的には自分のスタイルを崩すことなく、11回に得意の左ボディーでダウンを奪ったのは、持って生まれた勝負強さだろう。プロでは初めてと言える苦戦で、最後はダウンまで持っていくのが井上の本当の強さだと思う。

 苦戦して自信が揺らぐことはある。だが、この苦戦は井上にとって自信でしかない。倒されるかもしれない、というシーソーゲームを12ラウンド戦った経験は圧勝の数試合分に値する。米国で人気のドネアに勝ったことで評価はさらに上がり、米国へ進出してもビッグマッチが実現しやすくなる。そして、苦しんだこの日の経験が、その試合でも生かせるはずだ。(元WBC世界スーパーライト級王者)

続きを表示

この記事のフォト

「ボクシング」特集記事

「WBSSバンタム級トーナメント決勝 井上尚弥VSノニト・ドネア」特集記事

2019年11月8日のニュース