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【浜田剛史の目】井岡、見事な対応力 前回の反省生かした最高の試合

[ 2019年6月20日 08:15 ]

WBO世界スーパーフライ級王座決定戦   〇同級2位・井岡 一翔  TKO10回1分46秒 同級1位アストン・パリクテ(フィリピン)● ( 2019年6月19日    幕張メッセ )

10回、パリクテ(左)に右ストレートを見舞う井岡(撮影・島崎忠彦)
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 対応力を身に付けた井岡に今、一番の強さを感じた。序盤、体格の差による距離に苦戦を強いられた。だが、我慢でしのぎ、4回以降、徐々に自分の距離に持ち込んでいく。流れの奪い合いの中、ポイントは7回の攻防だった。パリクテが前に出てきて攻勢をかける。井岡は打たれながら、このまま下がればピンチとなる場面でラウンド後半に持ち直した。これで井岡は流れを相手に渡さずに済んだ。それが10回の猛攻、勝負どころの爆発につながった。出てきた相手の右に合わせた井岡の右カウンター。ぐらつくパリクテに連打を浴びせレフェリーストップのTKO勝利を勝ち取った。

 4階級制覇に失敗した前回の試合、反省点は手数の少なさだった。今回のパリクテ戦の戦い方は、正面から打ち合う、外して打つタイミングを図る、相手が打つ前に打つ、などの選択肢があったが、井岡はその全てを出し、それに多彩な手数をプラスした。反省を生かした最高の試合で、日本人初の偉業を成し遂げた価値ある勝利だった。(元WBC世界スーパーライト級王者)

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2019年6月20日のニュース