八重樫 “激闘”初防衛!「危ない世界に飛び込んだ」

[ 2013年8月13日 06:00 ]

ブランケットに強烈なパンチを浴びせる八重樫

WBC世界フライ級タイトルマッチ12回戦 ○王者・八重樫東 判定 同級10位オスカル・ブランケット●

(8月12日 大田区総合体育館)
 試合終了のゴングが鳴ると、八重樫は挑戦者との握手もそこそこにコーナーへ引き揚げた。しきりにローブローやバッティングをアピールしたダーティーファイトの相手に対してではない。自分に対する不満が、八重樫から喜びの表情を奪った。「怖かった」。3―0の大差の判定勝ちだったが、ブランケットの左は想像以上に初防衛戦を苦しめた。

 「何とか糸口をと思ったけど、最後まで煮え切らない感じだった」。KO率6割超のパンチャーとの対戦を前に「本来の足を使ったボクシング」を念頭に調整した。軽く、速いフットワークからの的確なカウンター。はた目にはそう見えたが、実はミニマム級だった王者のフライ級のパワーとの戦いだった。

 井岡とのミニマム級統一戦、2階級制覇した五十嵐戦と激しい打ち合いを見せ「激闘」が代名詞になった。だが、フライ級では体格が一回り小さい。土居進トレーナーの下、フライ級のパンチに耐えられる体、動き続ける脚力とスタミナが、試合前の課題だった。

 スピードでは圧倒した。足も止まらなかった。スタミナも「5割ぐらい」しか使っていない。大橋会長が「3度ぐらいヒヤッとした」という強打にも耐えた。それでも満足しなかったのは、ミニマム級で果たせなかった「初防衛」を達成した八重樫が秘める覚悟だった。

 「これがフライ級のパンチ。僕は危ない世界に飛び込んでしまった。もっと精進しないと」。離れても接近しても戦える自在性は見せた。だが、フライ級で戦うためには「もっと勇気を持って戦う」ことが必要だ。フライ級でも「激闘」を捨てるつもりはないのだ。

 来月には3人目の子供が誕生予定だ。「生まれてくる子供に王者でいる姿を見せられる。それが一番うれしい」。相手のパンチだけでなく、王座を「守る怖さを初めて味わった」が、守ろうとする強さも手にしてフライ級での激闘を続けていく。

 ▽八重樫―ブランケットVTR 八重樫は序盤こそリーチの長い相手に苦戦したが、中盤以降は足を使って徐々にリズムをつかんだ。6回にはボディーで相手の動きを止め、ローブローで減点された8回には、右でダウンを奪った。カウンターの左フックも有効だった。ブランケットは1回から左ジャブなどで積極的に攻めたが、6回以降は疲れが見え始め、動きに切れを欠いた。

 ◆八重樫 過去の激闘
 ☆06年4月3日 ウィーラサック(タイ)との東洋太平洋ミニマム級王座決定戦に臨み、5回に右ストレートでKO勝ち。東洋太平洋の国内最速タイ記録となるデビュー5戦目で王座を獲得した。
 ☆07年6月4日 当時の国内最速記録となる7戦目での世界王座奪取を目指し、WBC世界ミニマム級王者イーグル京和(角海老宝石)に挑戦。2回に偶然のバッティングで顎を2カ所骨折するアクシデントに見舞われ、0―3の判定負け。
 ☆11年10月24日 WBA世界ミニマム級王者ポンサワン(タイ)に挑戦。10回TKOで下し、4年ぶり2度目の世界挑戦で岩手県出身として初の世界王者に輝いた。
 ☆12年6月20日 WBC世界ミニマム級王者井岡一翔(井岡)と日本初の団体統一戦を行った。1、3回のフックで両まぶたを腫らしながらも果敢に打ち合ったが、0―3の判定負けで王座を失った。
 ☆13年4月8日 五十嵐俊幸(帝拳)とのWBC世界フライ級タイトルマッチは両者が右目上を切る流血戦に。それでも11回にこん身の右フックで王者の膝を崩すなど一歩も引かず、3―0で判定勝ち。飛び級での2階級制覇を達成した。

 ◆八重樫 東(やえがし・あきら)1983年(昭58)2月25日、岩手県北上市生まれの30歳。黒沢尻工でボクシングを始め、3年時に総体優勝。拓大時代は国体優勝。05年3月プロデビュー。06年4月に日本人最速タイの5戦目で東洋太平洋ミニマム級王座獲得。11年10月WBAミニマム級王座獲得。12年6月、井岡一翔とのWBA・WBC王座統一戦で判定負け。今年4月にWBCフライ級王者の五十嵐俊幸に判定勝ちして2階級制覇。1メートル62。家族は彩夫人(29)、長男・圭太郎くん(7)、長女・志のぶちゃん(2)。

続きを表示

「ボクシング」特集記事

「WBSSバンタム級トーナメント準決勝 井上尚弥VSエマヌエル・ロドリゲス」特集記事

2013年8月13日のニュース