TDK・坪山雄大 遊撃の定位置獲り狙う入社2年目 今は亡き大経大の恩師に活躍誓う

[ 2026年4月29日 13:00 ]

入社2年目を迎え、活躍が期待されるTDK・坪山(左=提供写真)
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 状況判断がキラリと光った。TDKで入社2年目を迎えた坪山雄大内野手(23)は、JABA静岡大会で遊撃として2試合に先発出場。成長を感じさせた場面は、Honda鈴鹿戦での7回の守りだった。

 「捕った時にしっかり周りが見えていたと思います」

 2死一、三塁から、代打で起用された岡野龍太は左打者だった。二塁を守る太田翔梧はヒットゾーンを狭めるべく、一、二塁間へ寄る。太田のポジショニングを確認し、予測と準備をした。カウント1ボールからの2球目。坪山は三遊間への平凡なゴロを難なく捕球すると、スローイングの態勢に入った。太田が二塁ベースに入るまでには、右打者の場合よりも時間がかかる――。打者走者、一塁走者の動きも全て視界に入れた上で、坪山は送球の距離が短い二塁ではなく、一塁を選択した。

 「セオリーなら二塁ですが、慌てず一塁へ放ることができた。状況を把握できていたというか、あそこは少し成長できた部分かと思います」

 ともすれば何気ないプレーにも映るが、コンマ数秒の世界に社会人野球の選手たちは生きている。その世界に導いてくれた恩師こそ、昨年12月9日に大阪市内の病院で他界した大経大前監督の高代延博さん(享年71)だった。

 「野球人生の中で一番の恩師です。高代さんがいなかったら、ここまで野球を続けられていないと思っているので」

 高代さんは、坪山が大経大に入学した21年から臨時コーチに就任。3年生となった23年からは監督に昇格し、関西六大学リーグで常に優勝争いするチームに鍛え上げた。

 「一所懸命にやれ。一瞬、一瞬、一日、一日をしっかり練習せえ」

 広島、中日、日本ハム、ロッテ、中日、韓国・ハンファ、オリックス、阪神、そして侍ジャパン。コーチとして多くの野球人を育て上げた希代の名伯楽は技術面もさることながら、一人の人間としてあるべき姿を説いてくれた。その生き様を示すように、病魔に冒されてからもグラウンドに立ち続けた日々。昨年の都市対抗東北2次予選終了後、母校を訪れたのが最後の対面となった。

 「えらい、顔、白なったな。関西人やのうて、東北の人になってるやないか。ケガせんと頑張れよ」

 冗談を口にしながら浮かべた穏やかな笑みを、坪山は一生忘れることはない。ほどなくして訪れた別れの日。秋田から葬儀に駆けつけた。「最後にお別れをしたかったので…」。とめどなくあふれてくる涙。これまでの感謝の思いを伝えるとともに、TDKの一員として活躍することを約束した。あれから4カ月。坪山は言葉を紡ぐ。

 「試合に出させてもらっているので、走攻守全ての面でチームの勝利に貢献したい。その中でもショートを守らせていただいているので、堅実な守備を心がけたい。今は本当にチャンスだと思っているので、そのチャンスをしっかりつかめるように練習しています」

 静岡大会に続き、JABA秋田春季大会でも2試合でスタメン起用された。さらに、秋田大会では1番という打順も経験。大経大では中軸を任されていただけに、「1番の難しさを知りました。(1回表の守備が終わって)ベンチに帰ってすぐに準備をしないといけないし、ピッチャーの球を初めて見るのが自分。タイミングの合わせ方も本当に難しいです」と新たな世界観を知ることができた。今後の野球人生を大きく左右するであろう勝負の年。全ての経験を力に変え、全国の舞台に立つ。

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