【内田雅也の追球】ホットドッグとヤジ将軍

[ 2025年10月17日 08:00 ]

セCSファイナルステージ第2戦   阪神5―3DeNA ( 2025年10月16日    甲子園 )

<神・D>サヨナラ2ランを放った森下(右)は藤川監督と抱き合って喜ぶ(撮影・大森 寛明)
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 一昨年も昨年も書いたのだが、阪神・森下翔太は「ホットドッグ」である。もとは野球場で人気の食べ物だが、アメリカでは俗語で「目立ちたがり屋」といった意味で使われる。

 「燃える男」「お祭り男」と言えばいいだろうか。日本ではかつて長嶋茂雄がそうだった。新庄剛志(現日本ハム監督)は大リーグ・メッツにいたころ、ニューヨークのメディアから「ホットドッギング」と称された。

 ワールドシリーズやポストシーズンにめっぽう強かったレジー・ジャクソン(ヤンキースなど)には「ミスター・オクトーバー」(10月男)の異名があった。「あれだけのホットドッグに塗るマスタードは世界中から集めても足りない」と言われたほどだった。

 だから3―3同点の延長10回裏、無死一塁で回ってきた時も、何かが起きると予感できた。左中間に舞ったサヨナラ2ランに強烈なホットドッグを見た思いがする。

 監督・藤川球児も短期決戦での森下の強さを見込んでいたのだろう。前日の本紙記事によると、このファイナルステージ前日の14日、全体練習前の円陣で「この先は真面目ではダメ。森下のようになれ」と語っていた。

 同じ話をかつての名将だった西本幸雄から聞いたのを覚えている。「大一番になると、少々やんちゃなヤツの方が頼りになるんや」と阪急や近鉄で監督時代の何人かの名前を出していた。野村克也は性格として「まじめな優等生」より「不まじめな優等生」が活躍すると診断していた。

 森下はこれらの条件に見合った、頼もしい選手だったわけだ。8回表無死二、三塁の守備で右中間寄り飛球を捕り、本塁へダイレクト返球して強肩を披露した。わき返る場内に自身の気持ちを高めていったのだろう。

 もう一人、陰のヒーローをあげておきたい。2―3の6回表に登板した2番手、畠世周である。ピンチ脱出で無失点で切り抜けると、満面の笑みで引き揚げた。降板後はベンチ最前列で笑顔と大声でナインを激励する姿があった。

 西本も野村もそろって「ヤジや態度でベンチのムードを盛り上げる選手はありがたい存在」だと話していた。先発・才木浩人が5回で101球も費やす重苦しい内容だっただけに、畠の救援は空気を変えた。そして畠以外も盛り上げ役が多い阪神には一丸姿勢があるとみている。 =敬称略= (編集委員)

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