ショーアップされたMLBドラフト会場 なぜ若きスターは出てこないのか 大リーグ機構と代理人のすれ違い

[ 2025年7月18日 17:11 ]

MLBロゴ

 スポーツ専門局「ESPN」電子版が、メジャーリーグのドラフト会場がオールスターの開催地と同じになり、オールスターウィークエンドの華やかなイベントの一つとしたのにもかかわらず、今年指名選手が一人も会場に現れなかった理由を説明している。

 現行の運営となったのは4年前、ファンを集め、全国中継され、スーツ姿の選手たちがステージに上がって初めてのプロ球団の帽子とユニフォームを着るというイベント。だが、2021年から2024年の各年で会場に姿を見せた選手は6~8人にとどまっていた。そして、今年(2025年)はゼロ。数人のアマチュア選手が出席に関心を示したものの、「来なくていい」と伝えられたという。

 MLB側の考えでは、「1人や2人だけ来るくらいなら、誰もいない方がマシ」だった。ロブ・マンフレッドコミッショナーは「選手を出席させたがらない代理人事務所があります。理由は彼らに聞いてください。私には理解できない。私はドラフト出席は選手をマーケティングし、ビッグリーグでスターに育てるための大事なステップだと考えています。ただ、彼ら(代理人)は彼らなりのアドバイスをするわけです」と話している。

 ドラフト出席を控えるよう選手に助言しているとされる代理人事務所は、ボラス・コーポレーション、エクセル・スポーツ・マネジメント、ワッサーマン。この3社だけで、今年のトップ30指名のうち18人を担当している。

 なぜ出席しないのか、主な理由は2つある。

 1つは、特に高校卒業直後のアマチュア選手たちが、予想より指名順位が下がるという「公開の場での屈辱」を避けたいという思いから、友人や家族に囲まれたホームパーティー形式での観戦を選ぶこと。

 もう1つは、MLBドラフトの経済的な構造が会場出席に対するインセンティブを欠いていること。MLBドラフトでは、最初の10巡目までの各指名枠に「推奨契約金額」が割り当てられているが、あくまで推奨であり、契約金は交渉次第。選手の指名直前に交渉が行われることも多く、指名順位に影響を及ぼすこともある。

 その後、契約が正式にまとまるまでにはさらに時間がかかる。スコット・ボラス代理人は「契約がまとまっていない状態で、まるでチームの一員であるかのように大勢の前に登場することはできません」と言う。

 高校生はすでに進学を決めている大学に入学する選択肢があるし、近年ではNIL(名前・肖像・人気)収入のある大学進学の魅力も増している。また、大学3年生は4年生として復帰する選択もできる。こうした選手たちは、球団から提示されたボーナス金額に納得がいかなければ、それを断る自由がある。

 昨年は、1巡目で指名された最初の12人のうち3人、最初の24人のうち6人が会場に出席していた。過去3年間では、出席者の中から毎年、トップ6以内に指名される選手が1人はおり、2021年と2022年はパイレーツがそれぞれ1位指名(ヘンリー・デイビス)と4位指名(ターマー・ジョンソン)で会場出席者を選んでいる。

 ところが今年は、最初の30人の指名選手のうち12人が開催地ジョージア州およびその隣接州出身であったにもかかわらず、誰ひとりとして現れなかった。

 MLBは今年、選手出席を促すためにインセンティブを拡充した。往復航空券6人分、ホテルの部屋3室、ホームランダービーとオールスターゲームのチケット6枚を用意し、バッティング練習中に選手と交流できる機会や、レッドカーペットショーへの参加、殿堂入り選手やセレブとの面会、リーグ公式SNSへの出演など、数々の特典を用意した。それでも、出席者は現れなかった。

 2024年のMLBドラフトは、ESPNとMLBネットワークで合計86万3000人の視聴者を集めた。これは過去2番目に多い数字で、従来の数値の3倍に相当する。しかし、NFL(2025年のドラフトで1360万人)やNBA(同年380万人)と比べれば、その差は圧倒的。なんとかMLBのドラフトが盛り上げたいが、目玉選手が会場に登場しないことには話にならないのである。

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