【高校野球】北摂三田「隠れプロ注目」初戦で散る、部員不足から仲間と磨いた143キロ

[ 2025年7月13日 20:28 ]

第107回全国高校野球選手権兵庫大会2回戦   北摂三田2-4夢野台 ( 2025年7月13日    ベイコム野球場 )

<北摂三田・夢野台> 先発し力投するも敗れた北摂三田・川岸 (撮影・亀井 直樹)
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 北摂三田の最速143キロ右腕・川岸蒼空(そら=3年)は、4失点完投負けで初戦敗退を喫した。

 4失点を許しながら自責は「1」だった。味方が犯した3失策が失点に繋がった。それでも、試合後に涙を流しながら言い切った。

 「3年生12人で仲良く、一日一日練習を積み重ねてきたからこそ成長できました」

 1年夏は背番号6を背負った。ただし、それはベンチ入りが3年生5人、2年生4人のみと部員不足の裏返しでもあった。
 限られた環境で輝くために、今では数少なくなった「ワインドアップ」にこだわった。

 「明石商の中森が好きで、同じようにしようと自分も始めました。僕も高校で有名になれる投手になろうと思い、ワインドアップを続けてきました」

 川岸の秘めたる決意を、藤井敦裕監督は、そばで見守ってきた。

 「入学当初は部員が少なくて、どうしても守備が頼りないことがあった。そんな時は“我慢して頑張ろう”と言い続けてきた。自分一人で投げられるように…と体作りもしてくれた。本当に頭が下がる思いでした」

 責任感が成長を後押しした。

 高校入学時に128キロだった自己最速は、143キロまで伸びた。その噂を聞きつけたNPBスカウトが、練習を視察したこともあった。

 自信を深めて臨んだ夏初戦。今年は部員が約30人に増え、観客席からマウンドまで大きな声援が聞こえてきた。

 味方のミスから2回までに4点を失っても、「絶対に仲間が取り返してくれる」と信じて疑わなかった。3回以降は無失点に抑えて援護を待った。しかし、初戦突破とはならなかった。

 試合後、部員も指導者も保護者もみんなで泣いた。

 「今日の試合が一番の思い出になりました。これからも野球は続けたいと思います」

 限られた環境でこそ、深められた絆があった。(河合 洋介)

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