【虎番リポート】阪神・坂本が工藤への「12球目のスライダー」サインに込めた思いとは

[ 2025年3月7日 05:15 ]

5日の中日戦で鵜飼を空振り三振に抑えた阪神・工藤と坂本のバッテリー
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 今、背番号127が腕を振れば、見る者の視線は自然とスピードガンに向かう。

 阪神の育成ドラフト1位・工藤(四国・徳島)の底知れぬ「真っすぐ」が聖地デビューでも火を噴いた。前日の中日戦の9回に甲子園初登板を果たし1回無失点。直球の最速は157キロを記録した。19球中15球が直球で走者を背負ってのクイック投法も含めてすべて150キロ以上を計測。1死で対峙(たいじ)した鵜飼には、フルカウントの7球目から5球連続で直球勝負を挑んだ。最後は138キロのスライダーで空振り三振に仕留め「変化球のサインが出てそれで決めろっていうことで」と振り返った。

 バッテリーを組みサインを出したのは、捕手の坂本だった。試合後、鵜飼との12球に及んだ対戦について聞くと、女房役は足を止めて話してくれた。

 「(直前まで)あれだけ腕振って真っすぐを投げていたから変化球で空振りになる。結構度胸あるなって」

 まだオープン戦で直球のサインを出し続けて力勝負でねじ伏せることもできたかもしれないが、坂本はあの場面、あのカウントから奪わなければいけないアウトの「重さ」を知ってほしかった。

 「3点負けてたかもしれないけど工藤が後ろ(救援)で投げるってなれば、その1人のランナーがどれだけキツイかとなるので。代走のスペシャリストが出てきたら一塁でも大ピンチに感じることもある。そういう場面で三振じゃなくてもアウトを取れるのはすごく大事だと思うので」

 工藤が今後、今とは比べものにならないぐらいの重圧を感じる“未来”があると、期待も込めて出した変化球のサインだった。言うまでもなく、坂本は工藤のストロングポイントも分かっている。

 「育成で3年は長いようで短い人もいる。いろんなことを試してる時間もない人もいるだろうし。工藤もまずは自分の良いところ(直球)で勝負する。足りなかった時に僕は気づいてやればいいので」

 育成新人の投げたい球を最大限にくみ取って直球のサインを出し続けた坂本が“決めに来い”とメッセージを送った1球。目標とする1軍マウンドで、いつか工藤が思い返すのかもしれない。(遠藤 礼)

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