阪神・ゲラから学ぶ投手転向成功の秘けつ 球が速いのはきっかけでその後の信念と努力が大切

[ 2025年2月20日 08:00 ]

18年、パドレス時代のゲラ
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 【畑野理之の談々畑】楽天の辰己涼介外野手が沖縄・金武キャンプ中の7日にブルペン投球したニュースを見た。152キロを計測し、チーム最速だったという。

 かねて登板を希望し、投手にも挑戦の二刀流を直訴していたが、投じた7球は制球が定まらず、残念ながら石井一久GMからは不合格を伝えられていた。それでも三木谷浩史オーナーには「スピードはすごい。ファン思いなので非常に良かった」とエンターテイナーぶりを評価された。

 大谷翔平という存在が現れるまでは、そもそも一人の選手が投手と野手をまたいで活躍するのは珍しく、大変なことだった。99年に阪神の新庄剛志(現日本ハム監督)も二刀流にチャレンジした。プロ野球界全体から大注目され、同年1月の沖縄自主トレを追いかけた。まだ肩が出来上がっておらず、本格的な投球練習はしなかったが、セットポジションから一塁けん制をしてくれるサービス精神に感謝した。それだけで大原稿を求められたのがなつかしい。

 オープン戦に2試合登板したが、左膝を痛めるなどして断念。そんな新庄監督らしく、「お~、152キロ凄いじゃん。そんなに甘くはないですけど面白いんじゃない?」と辰己に賛辞を贈り、盛り上げようとしていた。キャンプならではの光景を、個人的には肯定的に楽しんだ。

 日本のプロ野球界では野手→投手で大成功をおさめた選手は見当たらない。逆の投手→野手は、近いところでは糸井嘉男(阪神などで通算1755安打)、福浦和也(ロッテ、同2000安打)など何人もいるのに、だ。阪神の2軍ブルペンコーチとして当時の新庄の挑戦にも携わっていた木戸克彦氏は「同じ球速でも、本職の投手はミットに収まるまでグワン!と迫ってくる。毎日投球する筋肉と、毎日バットを振る筋肉は違うもの」と難しさを指摘する。

 しかし米球界では野手から転向して成功した投手は何人もいる。ヤンキースの守護神として通算652セーブを挙げたマリアノ・リベラなどが有名だが、阪神のハビー・ゲラもその一人だ。12年に遊撃手としてレッドソックス入り。パドレス時代の19年春季キャンプ中に投手に転向した。同年にはメジャーでデビュー登板。160キロを超える真っすぐを武器に今年も阪神の必勝継投の一人として欠かせない存在だ。「練習プログラムの違いなど戸惑いはあったけども…。最初はパドレスのコーチに勧められたが、自分でもやると決めた以上、自分を信じてトレーニングしたから、今の自分がある」。球が速いのはきっかけであって、その後の信念と努力が成功の秘けつだと教えてくれた。

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