ソフトバンクの“シン・左キラー”“新ハセ”はタケコバーではなく「タケヒロ」でお願いします!

[ 2024年2月7日 07:15 ]

小久保裕紀監督(左)、倉野信次コーチ(右)の視線を浴びながら、投球練習を行う長谷川威展
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 新天地の福岡では“タケコバー”ではなくタケヒロで売り込みたいらしい。現役ドラフトで日本ハムからソフトバンクに加入した長谷川威展(たけひろ)投手(24)が、宮崎春季キャンプA組(1軍)スタートから存在感を示している。

 「まだ背番号から慣れないですね。ちょっと違和感はあります。九州のファンの皆様には、他の誰でもない“たけひろ”として覚えて頂けるように、頑張っていきたいですね」

 小さなテイクバックから剛球を投じる変則横手左腕の球種は、150キロ超の直球とスライダー、カットボール、ツーシーム。日本ハム、DeNAに在籍した同タイプのエドウィン・エスコバーになぞらえて「タケコバー」とネット上などでは言われてきた。日本ハムでは背番号53で新天地では59。米国の国旗だらけの独特のリュックを背負っている男が長谷川だ。

 NPB通算463登板を誇る嘉弥真新也が今季からヤクルトに移籍。「シン・左キラー」として期待されている。「左だけじゃなく、右打者にも強気に行けるところもポイントですかね。基本的に外角で勝負することはない。全部、内(角)ですかね」。面構えから勝負師の雰囲気を感じさせる。ブルペン投球を見守る倉野信次投手コーチ兼ヘッドコーディネーターも「スライダーの独特の曲がり幅がいいんです。打者の手元でタイミングがずれる武器を、どう生かすかですね」と期待を寄せる。

 白球の申し子でもある。23年に日本ハムからFA加入した近藤健介と同じ8月9日、「野球の日」が誕生日。「両親とも野球はしていませんし、狙って産んだのでもないと聞いていますが、縁は感じますかね」と豪快に笑った。

 地元は埼玉県。花咲徳栄(埼玉)での3年夏。エース清水達也(中日)、主砲の西川愛也(西武)を擁したチームは県勢初の全国優勝も、長谷川は県大会後にベンチ外。アルプスで声をからした後に金沢学院大に進み、変則横手左腕となった。その金沢市内が年明け早々に能登半島地震で被災。「仲間の命は無事と聞いていますが、僕がやれることはやっていきたいんです」と第2の故郷のためにも、腕を振る。

 すでに浸透しつつある“鷹のハセ”にも乗っかる。長谷川といえば打撃職人として大人気だった長谷川勇也(現R&D担当)が浮かぶ。狙うは窮地を救う“新ハセ”だ。「ピンチの場面で“ここは長谷川で行こう”と思われるような準備をしていきたい」。昨オフには日本ハム時代の先輩で同じ変則左腕の宮西と合同自主トレ。体は、できているという。

 昨年12月の正式入団から約3カ月がたった。「仲良しの選手は正直、まだいませんが、皆さん、本当に優しい方ばかりです。実戦を重ねていって、これから徐々に、僕のキャラや立ち位置も出てくるとは思います」。投げ方は独特だが、対話のキャッチボールは真摯かつ誠実でまっすぐ伝わる。福岡に来た、はせがわ・たけひろ。注目し、追っかけたら味があると思います。(記者コラム・井上 満夫)

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