安定の公務員を辞めて記者へ 「なんで辞めた」思い出す 冬の東京六大学野球
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記者にとって、取材相手に「自分が何者か」を覚えてもらうことは大切だ。信頼を築けなければ「特ダネ」や「魅力的な企画」は生まれない。その中で自己紹介は信頼関係を築くファーストステップともいえる。
20年にスポニチに入社し、アマチュア野球を担当してきた記者の前職は地方公務員。公務員試験を突破し、つかんだ職だったが3年で辞めた。自己紹介で経歴を話すと「もったいない」。「なぜ辞めた」と言われる。アマチュア野球の指導者たちもスポーツ新聞業界の現状は把握しているようだ。
17年4月から20年3月まで福岡県福津市役所の職員を務めた。お堅いイメージのある公務員だが、ちょっと変わった部署にいた。教育委員会に属するスポーツ文化振興係はスポーツイベントを運営する部署。スーツで出勤することは年に数回。ある時はラインカーでソフトボール大会が行われる駐車場の区画を引き、ある時は海洋体験で小学生とともにカヌーで海に繰り出す。汗も汚れもOKなジャージで出勤する毎日だった。
地域をスポーツで盛り上げることが当時のミッション。全国にTV中継される女子駅伝大会やNPB(日本野球機構)と共催の運動教室などを担当した。スポーツを「する」「みる」「ささえる」活動を通し、いかにして市民の生活向上を図るか――。日々、ない知恵を絞った。
地方公務員には約3年で部署が変わる「ジョブ・ローテーション」がある。長いこと同じ部署にいると、地域の業者との癒着につながりかねない、という考えでつくられたシステム。スポーツ振興を担当する人でも次年度には全く畑違いの水道課や税務課に配属されることもある。「いろいろな仕事ができる」と承知して行政職になったが3年目を終える頃には「スポーツで社会に貢献したい」と思いが強くなり、スポーツ新聞社への転職を決意した。
時は流れて現在。アマチュア野球を担当して4年目。担当地区は東北から関東の高校、大学、社会人野球。「何か起きないか。凄い選手はいないか」と聞き耳を立てる日々。休みの日も社用スマホとパソコンは手放せない。「魅力的な記事でスポーツ界を盛り上げたい」という、転職した当初の志など忘れるほど毎日が忙しかった。
一気に冷え込んだ12月。久しぶりに「初心」を思い出した。今月の9日、10日には東京六大学野球連盟が6校のグラウンドを小学生に開放する「野球部グランドを子どもたちの遊び場へ」を開催した。9日には法大、東大、10日には慶大、明大、早大、立大で小学生とその家族が選手と一緒にグラウンドを駆けた。府中市の明大グラウンドでは小学生47人が参加。鬼ごっこやゴムボールによる打撃練習、ドッジボールなどで約2時間、汗を流した。来秋ドラフト1位候補の遊撃手・宗山塁主将(3年)は「なつかしい気持ちというか、みんなかわいくて純粋に運動することを楽しんでいた」と目を細めていた。
行政職員時代、「学校開放」という事業を担当していた。公園などでボール遊びなどが制限される状況で、地域のスポーツ団体などに学校のグラウンドを開放するというもの。地域に必ずあり、全力でからだを動かすことができる広い土地を持つ学校のグラウンドを有効活用するという思考は「グラウンドを子どもたちの遊び場へ」と一致する。東京六大学野球連盟は「子どもたちを取り巻く運動や遊びの環境は厳しさを増している」と明確な危機感を持っていた。
明大の運営を統括した岸上さくら主務は「子どもたちから“楽しかった”という声をたくさんもらえて、凄くうれしい。参加した保護者さんからは“ぜひ来年も”という声をいただきました。個人的には春や夏にも開催できたらと思います」と好感触だった。
当アクションは子どもたちに「ハード」を提供するとともに、東京六大学野球でプレーする選手たちと一緒に体を動かせるという、運動への「推進力」を与えられることが特徴。運動の3本柱のうち「する」「ささえる」を備え、選手たちとの交流から東京六大学野球を「みる」ことにもつながるかもしれない。アクションの輪が全国的に広がれば、大学野球の持つ社会的意義はさらに向上していくだろう。地域に貢献する選手たちの姿から前職時代の志がよみがえった。
さらに19日には東京六大学野球秋季リーグ戦、明治神宮大会を制した慶大が、三田キャンパス周辺で祝賀パレードを行った。夜に輝く東京タワーをバックにオープンカーに乗った選手たち。沿道には観衆が押し寄せ、カメラのフラッシュが止まらなかった。「おめでとう!」の声、声、声。コロナ禍でどんよりした空気が続いていた数年に別れを告げるような、熱気に包まれたパレードだった。行政職時代に目指したスポーツが社会に活力を与える姿が、そこにあった。
忘れかけていた「原点」を思い出した12月。来年も志を胸にアマチュア野球の「今」を記していこう。(アマチュア野球担当・柳内 遼平)
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