名将の言葉に感じた「理想の監督像」 大事なのは決断への「覚悟」

[ 2023年12月3日 08:00 ]

アジアプロ野球チャンピオンシップ決勝の韓国戦10回、送りバントを決めた古賀
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 幸運にも名将の監督としての軸の部分を聞くことができた。11月26日、都内のホテルでU18日本代表を初の世界一に導いた明徳義塾(高知)の馬淵史郎監督を祝う会が開催された。馬淵監督の出身大学である拓大野球部OB会が主催。同大前監督の内田俊雄氏(77)が出席した。

 内田氏は壇上で「負けた時は自分が覚悟すればいいんだと、評判の長距離打者を外して、本当に自分の“やりたい野球をやるんだ”というメンバー編成だった。負けたらエラいことになるぞと。(批判を受ける)覚悟があるんだなと。やっぱり凄い監督です」と称えていた。

 78年から03年まで亜大の監督を務め、03年から06年は同大総監督。その間、日米大学野球の日本代表監督も2度務めた。06年から19年まで拓大の監督を務めた同氏はヤクルト・高津監督や赤星憲広(本紙評論家)、松田宣浩ら数多くの教え子を球界に送り出してきた。侍ジャパンの井端監督もその一人。今でも連絡を取り合うという。

 「井端も大したもんだよ。あれが失敗になっていたら何を言われたか。それでも、自分が全て背負うという、覚悟があったな」

 話題はアジアプロ野球チャンピオンシップの決勝・韓国戦のタイブレークの場面になった。1点を失って迎えた10回裏。無死一、二塁からスタートする場面で、大会11打数5安打で打率・455の森下に代えて古賀を「ピンチバンター」として代打起用した。

 古賀は見事に起用に応え、好機を拡大し結果はサヨナラ勝ち。内田氏の目には迷いなく決断した教え子が頼もしく見えていた。

 「それ見てみいと思ったはずや。何を言われようと、決断に自信と覚悟を持たにゃ。それが決まった時の思いは監督をやった者にしか分からんし、醍醐味じゃ」

 馬淵監督が「本当の兄弟よりも血が濃いと思っているし、相談もさせてもらっている」と信頼を寄せる内田氏の言葉に「理想の監督像」が見えた。(記者コラム・小野寺 大)

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