楽天・安楽 事実上の解雇 パワハラ認め自由契約 球団社長「再契約の意思あると思ってほしくない」

[ 2023年12月1日 05:30 ]

安楽
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 楽天は30日、後輩選手へのパワーハラスメント(パワハラ)行為が訴えられていた安楽智大投手(27)を自由契約とすると発表した。1日に公示される保留選手名簿から外し、来季以降の契約を結ばない方針で、事実上の解雇。同投手がパワハラ行為についておおむね事実と認めたことから、厳しい処分が下された。

 球界に衝撃を与えた悪質なパワハラに対し、重い処分が下された。本拠地・楽天モバイルパークでの会見。冒頭で森井誠之球団社長は深々と頭を下げ「まずはファンの皆さま、関係している皆さま方、このような事態になりましたこと、深くおわびさせていただきます」と陳謝した。

 先月25日に後輩選手へのパワハラ疑惑が表面化。球団は25、26日に選手、スタッフら計137人に緊急アンケートを実施した。回答率は92%。約10人が被害を訴え、さらに約40人がパワハラの事実を見聞きしたと答えた。球場のロッカールームで後輩選手を逆立ちさせて下半身を露出させ、陰部に靴下をかぶせる、食事の誘いを断ると深夜にしつこく電話をかける迷惑行為や、罰金の名目での金銭の徴収、暴言を用いた人格否定などの数々。アンケートを受け、森井社長らが29日に安楽への事情聴取を行い、暴挙の数々をおおむね認めた。30分程度要した事実認定後、その場で「これによって自由契約になります」と通達。安楽は「かしこまりました」という短い言葉で、自らが招いた最悪の裁定を受け入れた。

 いかなるハラスメントも認めないという強い姿勢を示すためには“クビ”以外の選択肢はなかった。会見では「24年シーズンの契約はしない」という表現にとどめた森井球団社長。だが、25年以降の再契約の可能性には「今ここで“ゼロ”と発言できないけど、再契約の意思があるとは思ってほしくない」と説明した。1日には自由契約選手として公示され、他球団との交渉も可能となるが契約球団が現れる可能性は極めて低く、このままプロ野球界を去る可能性が高い。安楽は「大変申し訳ない」と反省の弁を繰り返し、被害者への謝罪と謝罪会見を行いたいと球団に申し入れた。今後、時期や方法について話し合いを進めていく。今後についても森井球団社長は「前所属球団としてしっかり面倒を見てあげたい」と社会復帰に向け支援していくとした。

 球団の顧問弁護士によると、アンケートには安楽以外の選手による「強い言動」や「球団として改善しなければいけないと思われる行為」の訴えが複数あったという。再発防止策として、匿名で相談できる窓口設置や、継続的な教育研修などを行うとし、森井球団社長は自身の報酬の10%を2カ月間自主返納する。チームにはびこる病巣の根絶へ、強い姿勢で取り組んでいく。(重光 晋太郎)

 ◇安楽 智大(あんらく・ともひろ)1996年(平8)11月4日生まれ、愛媛県出身の27歳。済美では1年秋からエースを務め、2年春夏に甲子園出場。2年春は準V、夏は甲子園最速(当時)の155キロを計測した。14年ドラフト1位で楽天入団。15年10月5日のソフトバンク戦でプロ初登板初勝利。21年から中継ぎに定着し、3年連続50試合以上登板を果たした。1メートル86、87キロ。右投げ左打ち。

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