レジェンドに愛された「竜の聖地」がついに閉店 阪神・岡田監督も常連客

[ 2023年11月13日 08:00 ]

閉店特需!?で店の前に長蛇の列ができる「ラーメン 竜」
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 数々の大選手、名将の胃袋を満たしてきた名店が、中日とともに歩んだ42年の歴史に幕を下ろす。2軍本拠地・ナゴヤ球場前にある名物ラーメン店「ラーメン専科 竜」が、11月22日をもって閉店。チーム関係者、ファンはもちろん、我々報道陣にとっても寂しいニュースとなった。

 1981年に、サラリーマンだった吉田和雄さん(81)が一念発起して開業。当時の1軍本拠地の目の前という地の利で、瞬く間に大人気店となった。吉田さんが苦笑いで当時を振り返った。

 「手に職もなし、修行もなし。軽い気持ちで“ラーメンならできるか”と始めた。完全になめてた。でも、黙ってても、“来るな”と言っても客が入って来る。最初はもう、はちゃめちゃだった」

 開店当初は妻・貴美子さん(77)と毎日、必死で切り盛り。時代とともに味も洗練され、メニュー数も増えた。入団時から通い詰めてきた立浪監督は、今でも貴美子さんを「お母さん」と慕う。星野仙一、落合博満ら並み居るレジェンドからも愛された。

 「みんな頼むのが決まっていてね。立浪は冷麺専門、谷繁も。星野はラーメン、落合は塩ラーメンだった」

 中日だけではない。他球団にも“常連さん”は多かった。その一人が今季のセ・リーグ優勝監督だ。

 「阪神の“アレ”の人も、いつも出前で頼んでくれた。岡田はワンタン麺1本。3連戦は3日ともワンタン麺だったね」

 閉店のニュースを阪神担当を通じて伝えると、岡田監督も懐かしそうに目を細めたそうだ。「おう、いつも頼んどったよ。“5時に持って来て”とかな。誰かの名前を使って“コイツに付けといて”ってな。(笑い)ワンタン麺やな、おーん」。竜党の間では「竜の聖地」と呼ばれるが、お世話になった球界人は数え切れない。

 和雄さんが5月に体調を崩して入院。高齢でもあり、10月に決断した。新聞やテレビで閉店が伝えられて以来、連日の大盛況だ。日曜日だった12日は開店前から長蛇の列ができた。「普段は80杯ぐらいだったけど、200杯以上。凄い思いをさせてもらっているよ」。“勇退”までいよいよあと約1週間。足を運べる方は、是非ご賞味あれ。(記者コラム 山添 晴治)

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