“ハマの申し子”ENEOS・度会 涙のDeNAドラ1 指名漏れから3年…父と同じプロの道

[ 2023年10月27日 05:30 ]

プロ野球ドラフト会議

DeNAから1位指名を受け涙を浮かべるENEOS・度会(撮影・光山 貴大)
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 「プロ野球ドラフト会議supported by リポビタンD」が26日、東京都港区のグランドプリンスホテル新高輪で行われ、DeNAがドラフト1位で指名したENEOS・度会隆輝外野手(21)の交渉権を獲得した。1位指名を表明していた中日、ロッテとこの日最多タイ3球団の競合の末、クジを引き当てた。横浜高時代、3年前に悔しい指名漏れを経験した同外野手はうれし涙にくれた。即戦力投手がそろった今年の会議では、過去最多となる7度のクジ引きが行われた。

 目から涙がこぼれ、はなをすすった。12球団の1位入札。前日に1位指名を公表していた中日に加えDeNA、ロッテまで「度会」の名前を真っ先に挙げた。ドラフト会場で三浦監督が「交渉権確定」の紙を掲げると顔を紅潮させ、うなずいた。

 「DeNAに選んでいただいて、めちゃくちゃうれしくて…。“最高でーす”とやりたかったけど、体中しびれるほどうれしくて、自然と涙に変わっていました」。いつもの軽いノリから一転。隣のENEOS・大久保秀昭監督が差し出したハンカチで顔を拭った。
 今月10日、CSファーストSを控えたDeNAがENEOSと練習試合を実施。本来の外野だけでなく三塁も守るなど、走攻守で非凡な才能を見せたことが、当初の左腕投手1位指名の方針から変更につながった可能性が高い。同戦で伊勢から中前適時二塁打を放つと「一流の投手からバットの芯に当てられました」と振り返った。

 横浜高で打撃センスを発揮した3年前には指名漏れを味わった。「一年でも早いプロ入り」のため社会人・ENEOS入りを選択。昨年7月の都市対抗では5戦4発で優勝に導き、大会MVPにあたる橋戸賞の他、打撃賞、若獅子賞とタイトル独占で社会人No・1打者の評価を不動のものとした。高校・社会人の6年間、横浜で育ち、横浜スタジアムで何度も暴れてきた。「ハマスタの雰囲気も大好きですし、ファンの方の声援も熱い。高校時代から大好きな球場だし、そこで野球がやれるのは最高なことだと思う」と待ち望んだ。

 父・博文さん(51)は現役時代ヤクルトで15年間プレーし、現在もヤクルトアカデミーに籍を置く。「お父さんはヤクルトで働いていますけど、その時は僕のヒットで勝てるように」とプロ入りでようやく肩を並べた父のチームとの対戦へも目を向けた。一度は挫折しかけた夢舞台へ羽ばたく。「夢を諦めなければ必ずかなうという言葉を胸に刻んでやっていたので…。一度は消えかけた夢ですけど、一生懸命やって本当に最高な結果が出た」。社会人最後の大会となる日本選手権(11月8日から京セラドーム)で、恩師の大久保監督を胴上げして、新天地へ。3年前に悔し涙でゆがんだ夢の輪郭が、うれし涙の先ではっきり形を描いた。(伊藤 幸男)

 ≪度会含め父子選手3人誕生≫DeNA1位の度会を含め3人の「父子選手」が誕生した。駒大の右腕・星野はソフトバンク育成5位。父は現役時代、ソフトバンクで通算50勝を挙げ、現在はコーチを務める順治氏。最速151キロ右腕は「父と同じ職場はなかなかないこと。結果で見せたい」と意気込んだ。DeNA・育成1位の内野手・高見沢の父・考史氏はオリックスでプレーした外野手。広角に打ち分ける打撃で支配下登録を目指す。

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