【岡田阪神18年ぶりVの裏側(4)】すい星のごとく現れた村上&大竹がVの使者 西勇と青柳の不調カバー

[ 2023年9月18日 05:45 ]

14日、リーグ優勝を決め、笑顔で記念撮影する(左から)村上、伊藤将、大竹
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 投手陣において大きかったのが、新顔の台頭だった。今季は主戦格として期待された青柳、西勇がシーズン中盤まで思うように勝ち星を伸ばせず。そんな2人の計算外の不振をカバーしたのが、開幕前まで1軍未勝利だった村上と、昨オフに現役ドラフトで加入した同10勝の大竹だった。岡田監督が優勝インタビューで口にした言葉が、その貢献度を如実に物語った。

 「最初は西と青柳でいっぱい勝てると思ったんですけどね。その分、若い村上とか、大竹がよく頑張って10勝ですから。みんながカバーした」

 村上は昨オフ、自主トレで師事した青柳から投球時に踏み込む左足への意識を説かれ、上半身任せの投げ方から脱却。移籍1年目の大竹も西勇から心理面で的確な助言を受けたことで、“1軍の壁”を取り払うきっかけをもらった。経験豊富な先輩たちから得た気付きを血肉に変え、両投手は図らずも“師の穴”を埋めたのだった。

 ともに昨季まではウエスタン・リーグが主戦場だった。互いに雌伏の時間を長く過ごした2人は、つかみ取った1軍の場で、刺激を与え合った。

 大竹「お互いに2軍が長かったんで、村上が抑えているのはうれしい」

 村上「あの人、全然負けないですし、勝利数も早く追いつきたいなと思って、ずっと投げていた。目の前に目標がずっとあった」

 中でも象徴的だったのが、8日からの広島3連戦前のやりとりだ。3戦目予定の伊藤将を含めて3人が9勝で並び、迎えた2位球団との直接対決。甲子園の投手指名練習でのランニング中には村上から大竹に「9勝、9勝、9勝で3人並んでいるんで、この3連戦で3人10勝いったらいいですね」と笑いかけたという。そして3連戦の先陣を切った村上が宣言通り8回途中1失点の快投で節目に到達。大竹も7回途中1失点で続いた。最後は伊藤将が8回1失点の熱投で、10勝トリオを完成させて同一カード3連勝を飾った。

 シーズン最終盤も村上、大竹が先発陣の先頭に立ち、猛虎は史上最速での優勝へと加速した。すい星のごとく頭角を現した左右両輪の存在なくして、今季の岡田阪神を語ることはできない。(阪神取材班)

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