「機械でOK」NPB審判員は全員クビ不可避 元NPB審判員記者が提言する生存戦略
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記者の前職は行政職員だった。次年度の計画を作成するとき、「デキる上司」に聞いたことがある。「いまの時代、SDGsを盛り込んだ施策にしないといけないっすよね」。上司は「前年と大きく変えることはない」と意外な回答をした。
SDGsは2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標。17のゴール・169のターゲットから構成される。
上司の言葉から、一つ一つのゴールをよくよく考えてみると、発言に合点がいった。「働きがいも経済成長も」、「すべての人に健康と福祉を」、「質の高い教育をみんなに」…。確かに従来の行政の施策と目指すゴールは何も変わらない。というより、すべての民間企業の活動も17のゴールの何かしらに当てはまるとさえ、思った。
記者の前々職はNPB審判員。11年から16年までグラウンドでジャッジを下した。そのNPB審判員の職が「持続危機」にある。私の在職中、本塁打限定でリプレー映像検証が導入されると、さらに現在も続く「リクエスト」で映像による検証の範囲は広がった。
NPB審判員で「審判の威厳が大事」などと言う人は一人もいない。映像による判定検証が導入される前から「可能な限り正しい方向に変える」という内部方針があり、現場の審判員の協議による判定変更も行ってきたリプレーーによる判定変更は大きなトラブルの抑止にもなり、現場の審判員も好意的に捉える意見が多かった。
従来のNPB審判員の待遇は決して悪いものではなかった。記者も1年目から約450万円の年俸が支給され、手当もあった。1年契約の厳しい条件だが、NPB審判員として成功すれば総支給額は年額1000万円を超えることも夢ではなかった。
「なぜ、これほどの報酬が支払われたか」。答えはリスクにある。リプレー映像検証のなかった従来は基本的に現場の審判員が一度下したジャッジに責任を負った。他の審判員が判定を覆す材料を持っていたときは判定変更も行ったが、当該の審判員以上に他の審判員がベストアングルに位置するケースは希だ。ミスジャッジが起これば、監督らチームに強く抗議され、マスコミやファンからも叩かれる。判定に安定感を欠けば、契約の更新がないこともある。NPBは50代前半の審判員に対し、契約更新なしの「非情決断」を下したこともある。その「リスク」あっての報酬だった。
現状はどうだろうか。基本的にストライク・ボールの判定以外はリプレーによる判定検証の範囲内になり、間違えたとしても明らかな誤審は覆る。テクノロジーの前ではベテラン審判員もルーキー審判員も関係なく判定は正しい方に変わる。もはや「リスク」は最小化されている現状がある。
そして、野球の本場である米国ではストライクゾーンにも「ロボット審判」が介入しようとしている。21年は1Aで実験を行い、22年は3Aの11球場で実験を続けた。投球の計測点を修正するなどして精度を高めている。テクノロジーによって「完璧な投球判定」の実現も迫っている。米国で機械が全ての判定を担うようになったとき、日本も「機械でいいじゃん」となるのは容易に想像できる。その時、人の審判員はストロングポイントを持たないと「クビ不可避」が待っている。
「NPB野球振興事業」を実施しているようにNPBの役割の1つとして「野球振興」がある。審判員はまだまだこの点において活用の余地があると考える。現在、高校野球の審判員は「バッシング問題」が課題に挙がっている。基本的に本業を持ち、ボランティアでグラウンドに立つ審判員。ネット上に容易に動画が出回るようになり、1つのミスジャッジで大バッシングを受ける事態も発生している。今夏の神奈川大会決勝、慶応―横浜戦でのジャッジではミスジャッジとする決定的な映像がなかったにも関わらず、大バッシングにつながった。
リターンに見合わないリスクを背負うアマチュア審判員。NPB審判員はそのサポートをすることができるだろう。1年を通じた研修会や交流会による技術継承やトラブル処理の対処。それによって、日本の野球振興につなげることができる。記者は2つの提案をしたい。
(1)NPBは審判員を社員化する
実は審判員は1年契約の個人事業主で、公式記録員はNPBの社員となっている。技量を競わせるためという目的もあった1年契約だったが、もはや形骸化している。審判員も社員化し、多方面に活動し、NPB審判員としての役割を課すべきと考える。
(2)オフ・シーズンの活用
記者の現役時代はオフシーズンのことを「100連休」と呼んでいた。個人事業主にも関わらずNPBは契約書で副業を制限する。よって、審判員たちは「緩いオフ」を過ごす。インタビューでは「ジムに行って体を鍛えている」と言ってみても現実は時間を持て余している。そんなオフ・シーズンをこれまで個人活動で行ってきた全国の審判員への講習会にあてたり、「ルールを守るプロ」として学校教育に活用するなど新たな活動はいくらでも考えられるだろう。社員化することで「業務」としてフレキシブルな活動も可能になる。
以上が、NPB審判員、公務員、記者として社会人生活を送ってきた私の「持続可能なNPB審判員のための生存戦略」。プロだけではなく、アマチュアもこの国の「野球」を支えている。NPB審判員の未来よ、いかに…(アマチュア野球担当・柳内 遼平)
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