「ヨコが運んでくれた」阪神・大山 天国への逆転V弾 横田慎太郎さん追悼試合で、4番が諦めず戦った

[ 2023年7月26日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神4―2巨人 ( 2023年7月25日    甲子園 )

<神・巨>観客の声援に応える大山(撮影・須田 麻祐子) 
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 阪神・大山悠輔内野手(28)が25日の巨人戦で逆転の決勝11号を放った。1点劣勢の6回1死一塁から左翼席へ。7回にも左前適時打で追加点をたたき出し、計3打点で首位死守に貢献した。18日に脳腫瘍のため28歳で他界した元阪神・横田慎太郎さんの追悼試合で天国に勝利を届けた。 

 打った瞬間、大山は「レフトフライかな」と思った。1点を追う6回1死一塁。カウント2―2から菅野の低めのフォークをすくい上げた一打は、思いのほか伸びた。天国の仲間が後押しし、左翼席まで届いた。ベースを一周して出迎えた選手たちと喜びを分かち合った後、ベンチへ下がる直前に両手でヘルメットを脱ぎ、そのまま夜空へ高々と掲げた。

 「入るかな?と思ったけど、スタンドまでヨコ(横田さん)が運んでくれた。“ありがとう”という気持ちで、そういう行動をした」

 無念とともにこの世を去った、1学年下のチームメート。「一緒にグラウンドで野球をする期間は本当に短かった。でも普段、生活する中で“大山さん、大山さん”って近づいてきてくれて…」。横田さんが脳腫瘍を患ったのが17年2月。同年1月上旬に新人として虎風荘に入寮したのが大山だった。一緒に泥にまみれたグラウンドでの時間もさることながら、寮内の何げない日常で過ごした1分1秒が今ではかけがえのない宝物だ。

 「今、野球をやっていますけど、それが当たり前じゃないんだなというのは感じますし、もっともっとしっかりやらないといけない」

 絶対に負けるわけにはいかなかった。3―2の7回1死一、三塁では三上からの左前適時打で突き放し、勝負は決した。19年から5年連続50打点に到達。「得点できたというのが一番大きい。何点あってもいい。次の1点、次の1点、という風にやっていく必要がある」。チーム一丸で必勝を期して臨んだ一戦。4番として鮮やかにケリをつけた。

 「一試合一試合、勝ちに向けてやりたい。こういう試合を増やしていくことが大事」

 巨人の4番・岡本和も4回に一時同点の左越えソロ。2人が同じ試合で本塁打を打ち合うのは3度目で、全て阪神が制した。2位・広島も勝ち、依然として0ゲーム差が続く。本当の戦いはこれから。秋に最高の報告をするために――。グラウンドで存分に戦える幸せを感じながら、大山はまた、歩き出す。(八木 勇磨)

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