皇學館大・村田は伊勢が生んだ右のスラッガー 196センチの大砲は全国区経由のプロ野球選手を目指す

[ 2023年7月3日 13:43 ]

皇學館大・村田怜音は、1メートル96、111キロのサイズから「伊勢のラオウ」と呼びたくなる大砲。照れながらラオウポーズをやってくれた
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 伊勢の地に、未知の可能性を秘めた大砲がいる。皇學館大の村田怜音(4年)は1メートル96、111キロのサイズを誇るスラッガー。春季リーグ戦では、バックスクリーンの上部に直撃する140メートルの規格外弾も放った。秋のシーズンは、まだ彼に気づいていない「中央」へアピールするラストチャンス。「スポニチドラフトチャンネル」の動画とともに、その魅力に迫った。 村田の動画はこちらから

 チームで群を抜く体躯なのに、村田の動きは「鈍重」のフレーズを連想させない。打撃ではセンターを中心としてシュアに打ち返し、一塁守備のフットワークも軽い。それでも、村田は野球選手としての武器を誰よりも理解している。

 「自分の持ち味は、当たったら、圧倒的な飛距離の出るところです」

 昨秋の三重県学生野球リーグMVP。「全国区」デビューを熱望し、万全の状態で迎えた今春は、思わぬ屈辱を味わった。県リーグこそ打率・500、3本塁打、15打点と4番の重責を果たしたものの、神宮切符をかけた東海地区大会で打率・188、本塁打、打点ともに0、7三振と絶不調。チームも敗退した。

 「自分のせいで負けてしまって、悔しさよりも、みんなに申し訳ないという気持ちの方が強い。当たれば果てしなく打球が飛んでいくのは自分も周囲も分かっているので、秋に向けては、一振りで仕留める力をつけたい」

 身長があるだけに、高目を攻められた後に低目の変化球を投げられると、体が浮いたり、目線がぶれて、対応に苦しむ。昨秋の活躍でマークされ、弱点を研究された結果、快音は鳴りを潜めた。捲土重来を期す大学生活ラストシーズン。村田は全国の舞台に立ち、ドラフトへ向けてアピールすることしか頭にない。

 「大学3年の秋に“あと1年頑張れば、プロに行けるんじゃないか”と思って、やってきた。春の結果にガクっときたけど、ここで挫折するわけにいかない」

 遠く、憧れだけの世界だったプロ野球を具体的な目標に変えてくれた人物がいる。中日・岡林とは、徳和小、久保中の同級生。オフに食事をしたり、メールを交換する中で、得た刺激は多い。「(プロ野球で活躍する)ワクワクとか、期待とか、不安とか、いろんな感情を教えてもらえる。今まで(岡林と)一緒のチームでプレーしたことがないので、そろそろ一緒の舞台で野球をやってみたい」

 カテゴリーを問わず、「右投げ左打ち」が強打者の主流になる中、「右の大砲」へ注がれる視線は熱い。ベンチプレス140キロを誇る男の挑戦。静かに闘志を燃やしながら、きょうも村田は伊勢の夏空にアーチを架けている。

 ◇村田 怜音(むらた・れおん) 2001年(平13)8月4日、三重県松阪市生まれ、21歳。徳和小3年から野球を始め、久保中を経て、相可(おうか)高に進む。入学直後に右肋骨を骨折する重傷を負うも、中学ですでに190センチを超えていた体格を生かして1年秋には主力選手に。主に1番を打っていた高校時代は25本塁打を記録した。環境面を重視して進学した皇學館大では、1年秋から「4番・一塁」で活躍している。大学通算は23本塁打。1メートル96、111キロ、右投げ右打ち。

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