【スポニチスカウト部(15)】BC神奈川 池内優一投手 済美魂でケガから復活した152キロ右腕

[ 2023年5月16日 06:00 ]

チームではセットアッパーを担う池内(神奈川フューチャードリームス提供)
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 今秋のドラフト候補となる選手にスポットを当てる「スポニチスカウト部」。アマチュア担当記者の独自目線による能力分析とともに、選手たちの素顔を紹介する。第15回はルートインBCリーグ・神奈川の最速152キロ右腕・池内優一投手(22)。済美(愛媛)出身の右腕は「やればできる!」の精神でNPBの舞台へ駆け上がる。 ドラフト速報

 池内の母校・済美の校歌にはこう記してある。「やれば出来るは魔法の合いことば」――。先輩の姿から「やればできる!」と痛感した出来事があった。

 4月8日のBCリーグ開幕戦の試合前。対戦相手である栃木の高岸宏行投手(30)から「お互い頑張ろう」と激励された。お笑いコンビ・ティモンディのボケとしても活躍する済美野球部の先輩は、6回から救援登板し、1イニングを無失点に封じた。前代未聞のお笑い芸人とプロ野球選手の二刀流。「負けられない」と3―3の8回に登板した池内も1イニングを無失点。先輩の前で初登板初勝利を手にした。

 栄光の野球人生を送ってきた池内の名前は、駒大時代に聞かれなくなった。済美で2度の甲子園出場。3年時は主将を務め、最後の夏は4番と投手の二刀流で甲子園4強に導いた。東都大学リーグの駒大に進学も2年秋に右肘を故障。1年秋から違和感があったが「アピールしたい」の思いが勝り、事態は悪い方へ。リハビリ期間は2年に及び、リーグ戦に登板することなく4年秋を終えた。

 それでも「野球人生をここで終わりにしたくない」と心は燃えていた。故障が癒えた体は万全。駒大卒業前の2月には自己最速の152キロをマーク。高校時代より7キロも速くなっていた。ドラフトでのNPB入りの夢へ、最後の舞台として独立リーグに進んだ。

 神奈川ではセットアッパーを担う。NPB球団の2軍とも試合を行う機会もある独立リーグ。4月25、27日に行われた巨人戦2試合に登板し、計2回を無失点と結果を出した。

 池内の「やればできる!」の解釈はこうだ。「やってみることで何かが起こる。それが“やればできる”につながる」。今日も信念を胸に腕を振る。 (柳内 遼平)

 ≪阪神・湯浅の“成り上がり道”に憧れ≫池内は同じ速球派右腕の阪神・湯浅に「本当に凄い選手」と憧れを抱いている。独立リーグ・富山でプレーした湯浅は、18年ドラフト6位でプロ入り。4年目の昨年は59試合に登板し、43ホールドで最優秀中継ぎのタイトルを手にした。3月には世界一に輝いた侍ジャパンのメンバーの一員に。同じようなシンデレラロードを目指す男は「独立リーグから結果を残してNPBに行った雑草魂に憧れています」と話した。 

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