楽天・涌井、中日・阿部 大物トレードの裏側 楽天・石井GMの西武時代の同僚に見せた「親心」

[ 2022年11月16日 05:30 ]

中日・阿部寿樹内野手(右)と楽天・涌井秀章投手
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 楽天の涌井秀章投手(36)と中日の阿部寿樹内野手(32)の交換トレードが成立し、15日に両球団から発表された。球団主導で情報管理のため当事者にも極秘で進められることが多いが、今回はGMも兼務する楽天・石井一久監督(49)が前もって涌井に意思確認するなど選手ファーストで成立。その舞台裏に迫った。

 トレードの舞台裏には選手ファーストの「親心」があった。GMを兼務する石井監督は「中日から涌井をトレードしてもらえないか、というお話を頂いた」と明かした。トレードは交換要員も含め非常にナーバスな事案で正式合意までは当該選手に候補であることさえ伝えないが、指揮官はすぐに涌井に打診があったことを伝えた。

 「戦友でもあり、同志でもあるワクの気持ちを大事にしたかった。寂しさはあるけど、力を発揮できる環境が中日にあるなら、送り出してあげたかった」

 涌井は西武時代の同僚で公私ともに家族同然の関係。以前、涌井もロッテからの金銭トレードの成立に尽力した石井監督について「お父さんみたいな存在。困った時は助けてくれるし、人生の岐路では必ず近くにいてくれる」と感謝していた。求められる場所がある。中日にはロッテ時代のコーチで気心の知れた落合ヘッド兼投手コーチもいる。決して悪いオファーではない。石井監督は納得するまで涌井と話し合い、この日の発表に至った。

 ◇涌井 秀章(わくい・ひであき)1986年(昭61)6月21日生まれ、千葉県出身の36歳。横浜高では2年春、3年夏に甲子園出場。04年ドラフト1巡目で西武入団。13年オフにFAでロッテ、19年オフに金銭トレードで楽天に移籍。主なタイトルは最多勝4度(07、09、15、20年)、沢村賞(09年)。08年北京五輪、09、13年WBC日本代表。1メートル85、85キロ。右投げ右打ち。妻はモデルの押切もえ。

 ◇阿部 寿樹(あべ・としき)1989年(平元)12月3日生まれ、岩手県出身の32歳。一関一から明大に進み、1年春から六大学リーグに出場。Hondaを経て15年ドラフト5位で中日入団。16年8月11日のヤクルト戦で代走としてプロ初出場。同年9月14日の巨人戦で初アーチを放った。1メートル85、85キロ。右投げ右打ち。愛称は「マスター」。

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